[子育て]

121話〜130話      柴田学園大学短期大学部 学長 島内 智秋



前へ          次へ



[その121]

●「わらべうた・伝承遊びを伝えて」

 お母さん・お父さん方は、わらべ唄や伝承遊びをどのくらいお子さんとしていますか?
 また、ご自身が幼少のときにはどんな遊びをしましたか?
「か〜ごめ、か〜ごめ♪(中略)うしろの正面だあれ」
「お寺のおしょうさんがかぼちゃの種をまきました♪」
「だ〜るまさんがころんだ!」
「ふるさとまとめてはないちもんめ♪ か〜ってうれしいはないちもんめ」
「ゆうびんやさん、はしりっこもうそろそろ十二時だ♪」
「ことしのぼたんはよいぼたん〜お耳をからげてスットントン、もひとつからげてスットントン」
 思いついた順にあげてみましたが、どれも小さいときにやったものばかりなのではないでしょうか?
 親世代が知っているわらべ唄・伝承遊びは小さいときに近所で遊んでいる中で、自然と覚え、親しんでいったものです。
 ところが今は、近所に同世代の子どもが少なくなってしまい、集団で遊ぶ機会がなってきています。
 言い方を変えると、親や地域の大人、保育所・幼稚園の先生方が伝えていかないと、次世代にわらべ唄・伝承遊びは伝わっていかないのです。
 実際、私も講義の中でわらべ唄・伝承遊びを学生と確認していく中で、ずいぶん知らないな〜と思い、伝えられていないことを実感します。
 一緒に遊んだり、子どもの友達も交えて遊んだりすることで、友達との関係を見ることもできるし、案外と童心にかえって大騒ぎして遊ぶことが、親自身のストレス解消にもなるのです。
 是非、お試しを!!さ〜て、今度の日曜日、何して遊ぼうかな〜??



[その122]

●「暑いですね。あなたの暑さ対策は?」

 今年の夏は、特に暑い日が続きました。
 今ではクーラーや扇風機が欠かせませんが、クーラーや扇風機がない時代の人たちは、どのようにして暑さをしのいでいたのでしょうか?
 思いつくままにあげますと……畳、蚊帳、うちわ、風鈴、縁側、浴衣、たらい行水、朝顔の垣根、夕涼み、打ち水、よしず等々。
 よしずは、風通しがいいのに強い日差しをやわらげてくれます。
 今のブラインドカーテンよりも風通しがいいように思います。
 打ち水は、たしか東京でもこれで気温を下げようという取り組みがなされていたような気がします。
 蚊帳は、いとこの家に泊まったときに、なんだかワクワクしてその中を走り回ったり、逆立ちしたり、蚊帳から出たり入ったりして、虫が入ってくるからと、叱られながらも気持ちの高ぶりが止まりませんでした。
 その片隅には蚊取り線香、窓辺には風鈴がありました。
 育った家には、縁側があって、よくそこにいるのが好きだったこと。朝顔のつるがみるみる伸びて、二階まで届いたときには、そこから手を伸ばして触れて、すごく興奮したこと。
 そして、おばあちゃんの昔話と風鈴の音色のハーモニーが心地よく、すやすや眠ったこと。
 夏の日常生活にあったものとともに、子ども時代の自分の思い出が蘇ります。
 昔の暑さ対策は、なんと風流だったことでしょう。
 クーラーや扇風機の味気ない暑さ対策を一時停止して、昔のものを取り入れてみるのもエコにもなり、いいのでは?
 案外、一番喜ぶのは子どもたちなのかも知れませんね。



[その123]

●「子どものいいところは、どんなところ?」

 ある小学校の授業参観で、お父さん方に先生から「お子さんのいいところを3つあげてください」と問いかけがありました。
 それに対して最初のお父さんが「顔が可愛い、声としぐさも可愛い」と応えたら、次に続く人も同じように応えたそうです。
 さてあなたは?
 例えば子どもが3人いる場合、「3人のいいところをそれぞれあげましょう」となると、どうでしょう?
 それぞれあげられますか?
 そのときに、ついつい子ども同士を比べていないでしょうか。
「A子よりもB子の方が優しいからB子のいいところは、優しいところしよう」といったように。
 自分は比べられることが、とても嫌だったのに、自然と比べてしまっていることが多くなっているような気がします。
 勉強もスポーツも得意でなくて、外から評価される場面が少なくても、親自身が「うちの子の思いやりがあって優しい言葉をかけてくれるところが大好 き!」などは、いつでも言えるし、それを子どもにも伝えていくと、どんなことにも自信を持って、頑張っていける子どもになっていくのではないでしょうか。
 また、頑張りすぎて外から評価されることが多い子には、頑張りを褒めすぎず「お母さんは外で頑張って帰ってきてから甘えんぼうになるところも好きだな」と、家では頑張っていなくても安心して過ごせるようにしてあげたいですね。
 それが子どもの心のバランスをとることにつながるのではないでしょうか。
 どの子も、たっぷり愛されるために生まれてきたのです。
 もちろん無条件で!
 また、親からの愛情表現を素直に喜ぶ時期と素直に表現できなくなる時期がありますが(特に思春期)、親の表現方法の工夫で伝わりやすくなります。
 子どもも親も忙しいのですが、できるだけ一緒の時期を過ごして心を通わせていきたいですね。
 きっと、いいところを3つどころか、もっと言えるようになりますよ。



[その124]

●「いいにおいと思い出」

 私はガソリンスタンドやマジックのにおいが好きです。
 人が嫌がるにおいがなぜ好きなんだろうと不思議に思います。
 先日、デパートの石鹸売り場にいきました。
 その中のひとつの石鹸の香りをかいだとたん、小さい時に私をあずかってくれていた家のお母さんを思い出しました。
 その香りは、一緒にお風呂に入った時に使っていた石鹸の香りだったのです。
 もう他界してしまった温かく優しいお母さんを思い出し、涙があふれてきました。
 人の記憶と香りが、密接に結びついているものなんだな〜と実感しました。
 生活の中にはたくさんの香りがあります。
 子どもたちは、そのひとつひとつを記憶しています。
 お母さんのにおい、お父さんのにおい、家のにおい、夕ごはんの支度途中の台所からしてくるにおい、自分が寝ている布団のにおい…と、生活の中には記憶されているにおいがたくさんあります。
 思えば、子どもが親と過ごせる時期は一生の中でとても短い期間です。
 これは長男が春から家を離れて、遠くに一人暮らしをはじめたので、とくに感じることです。
 その短い期間の中で、においをかぐだけで親を思ったり、癒されたり、心がほこっと温たまるような思い出をどのぐらいつくってあげられるんだろう…と、下二人の子どもの寝顔を見ながら考えました。

 私がガソリンスタンドやマジックの匂いが好きなのも、もしかしたら何か、嬉しかった思い出と関係しているのかも知れませんね。




[その125]

●「思春期の親からの自立と携帯」

思春期は自分だけの世界や、自分と同年代の仲間たちだけの世界を持ちたくなります。
それは親に知られたら困る場合もあれば、大して重要ではないこともありますが、親が知らないということに意味があるようです。
その半面、「何でも隠さず話してね」と幼いころから言われた、親からのメッセージとの矛盾に悩む心が生まれ、何となく後ろめたいような気持ちが起こります。
しかし、親離れと自立の一つの条件は、親の知らない世界を持つことにあるのです。
世界で一番、親密だった母親から離れて、親密な相手を同年代の友や仲間が求めるようになります。
この心の動きが、健全な親離れと自立のプロセスです。
何とか頑張って自立を志してみたものの、心の片隅には母親離れをした寂しさがあると思われます。
かつてお母さんと密着していたと同じように別な密着した相手がほしいと思うのです。
この心の渇きを携帯電話は安易に満たしてくれます。
そして、携帯電話やメールによるお付き合いが始まります。
現実の人間関係には、それぞれの生活環境や学校やどんな人かもよく知ってから、少しずつ親しくなっていくものですが、メ ル友の場合、それまで架空の存在に等しかった相手が急に実像をあらわすため、その相手が、自分のメールの中で思い描いていた人と全く見当はずれであった り、とんでもない行き違いが起こることもしばしばあるようです。
中高生の多くは実生活である程度付き合いのある友ともっと親密な交流を持とうとするときにメル友になるので、行き違い等のトラブルは心配ありませんが、ネットの世界に足を踏み入れたとたんに危険がいっぱいあるのです。
親は秘密と親密さの心のあり方を理解して、その中に、携帯電話・メールを位置づけてあげてほしいと思います。





[その126]

●「特別なスタートになった23年度」

入学式・入社式と新たなスタートをした4月。
新しい学校に期待と不安を持っての新学期だったことでしょう。
今年度は新入生を迎えた時、嬉しい気持ちの他、特別な思いがありました。
3.11東日本大震災。
本学は卒業式の前日、卒業式を楽しみにしていた学生や保護者の方も多かったと思います。
会場の弘前市民会館が耐震基準をクリアしていて、卒業式を行うのには支障がないということで挙行されました。
交通機関が使えないなど様々な理由で参加できない卒業生もいましたし、その後の謝恩会もホテルの準備ができないために取りやめになり、十分にお別れや励ましもできないまま卒業生を送り出しました。
それでも卒業後、ちらほらと遊びに来ては近況報告をこまめにしてくれる卒業生が多くありがたいな〜と思います。
同じように新学期に胸を膨らませていただろう被災地の新入学児童・新入園児…。
一瞬にしてすべてを飲み込んだ大津波。
どれほどの衝撃と深い悲しみがあるか想像をはるかに超えるものでありました。
日本人のすべての人が、もしも私だったら…と考えてなにかできることをしたいと強く思うようになりました。
この絶望の中で光りになるのがやはり、人と人との絆なのだと確信します。
苦しい時にこそ人の温かさがありがたく胸にしみるものです。
さてそういう自分はなにをしてきたのだろうと、今年の師走を迎える今、改めて考えます。
募金もし、文房具も送ったものの、現地にいけていない現実があります。
被災地の子ども達のためになにかしたい思いはたくさんあるにもかかわらず。
私と同じような思いでいる人はいませんか?



[その127]

●「子どものプロを育てる使命感」

全国保育士養成施設協議会の東北ブロック大会があり、仙台に行ってました。
その報告の中に、仙台市の保育園の園長先生が地震の当日から5日間、子どもたちと保育園に缶詰状態であったことなど写真をスライドショーにして見せながら話しました。
今は子ども達も笑顔で遊ぶようになったが、今になって被災直後には我慢していたいろいろな思いをポツリポツリと話すそうです。
周りの大人も大変そうなことを感じ取り、悲しみを飲み込んでいたところから、ようやく話すようになってきたと報告がありました。
また、こうした子どもの命を預かる保育士・幼稚園教諭の養成に責任を感じ、子どもについてのプロとして、自覚を持った責任感あるいい先生に育てたいと強く思いました。



[その128]

「子どもを自然の中に連れ出そう」

自然は春夏秋冬、いろいろなことをみせてくれます。
春は明け方、しらじらとした空の様子、澄んだ空気から冬から春に変わるにおいと喜びを感じます。
夏、車で出かけたときのアスファルトの先に水が見えて、またそこまでいくと水はない、逃げ水といわれる現象。
不思議だな〜と思い自然が見せてくれるマジックに種明かしを知ろうとして調べるでしょう。
木々に目をやると、蜘蛛の巣のできていくスピードやその手順のよさにも驚きます。
主要な糸をバランスよく張って中の部分を作っていき、まるで大工さんが柱を立てて家を建てるのとよく似ています。
また、蜘蛛の巣は、雨上りに見るときらきら光り、とてもきれいです。
秋、それまで緑だった葉が黄色に変わったり、赤に変わったり茶色に変わったり、また、虫くいあとの葉っぱがお面のようになったり、葉脈だけを残してみごとに食べられた葉っぱには芸術を感じ、虫は秋の芸術家といったところでしょうか。
冬はとても寒い日の朝、天気がいいと雪が舞いきらきらと粉のように輝くダイヤモンドダストをみることができます。
寒い日は寒いことを、暑い日は暑いことを当たり前のように経験させて、その中でいかに暖かくできるか、いかに涼しくなれるかの工夫や知恵が生まれます。
年がら年中、温度が一定に保たれている部屋にいては身に付かないことばかりです。
自然は親が教えられない、いろいろなことを感じさせ教えてくれるものだと思います。
今一度、親子で自然にふれあえる経験を、一年通してどのようにいつ頃できるか計画し、年の初めの話題にしてみてはいかがでしょうか。
子どもは、一年間を楽しみに思いながら過ごすようになるのではないでしょうか。
どうか今年が、子育てや家族でいることが楽しい一年になりますように。


1月28日(土)13:00〜文化センターで「子育てで気づいたこと」をテーマに子育て講演します。


○申込・問い合わせ先
学園都市ひろさき高等教育機関コンソーシアム事務局 弘前大学学術情報部社会連帯課社会連帯グループ
〒036-8561
弘前市文京町3
TEL: 0172-39-3904
FAX: 0172-39-3919
E-mail:im3904@cc.hirosaki−u.ac.jp
(平日8:30〜17:00)



その129

「寒い時には」

大寒波到来。2012年冬は例年にない大雪となりました。
早起きして雪かきをし、ひと汗かいてから朝食準備ということが、すっかり習慣化してきたこの頃、運動不足の私には健康保持のためのちょうどいい運動になっています。
それにしても春になると消えてなくなるこの天からの贈り物に、除雪隊の方は朝夕と何度も出動され、疲れもピークといったところでしょうか。
きれいに除雪された道路を運転し、感謝・感謝とつぶやきながら通勤する毎日です。
こんな寒い日は鍋がおすすめ。鍋を囲んで家族の団らんは、湯気の向こうの笑顔に心もほこっと暖まります。
また、休日には子どもと一緒に雪遊びをして暖まりましょう。
大型のかまくらを作り全体の仕事をしきり「はい、ここもう少し掘って!この雪をここに乗せてしっかり叩いて固めて!」と幼少期のガキ大将ぶりを発揮するお父さんに「はい!」とこのごろ口を返したり、生意気になってきた子も、はりきっていうことをきき、いきいきと遊ぶでしょう。
大きな雪だるまをつくり、仕上げは高いところにお父さんが顔を積み上げて完成!
お父さんの力に「お父さんすごいな〜」と今までよりもお父さんを慕うようになるでしょう。(お父さんに限らず、家族のどなたでもいいのですが、ついつい願いをこめてお父さんとしてしまいましたが)
こうして体を動かして、体もスリム化。お母さんに惚れ直され、子どもからも慕われる…なんと、一石二鳥どころか三鳥も四鳥にもなるといったものです。
寒い冬、雪遊びと鍋をセットで体験してはいかがでしょうか。
心も体もあったまること間違いなしです!

※1月28日、「学園都市ひろさき高等教育機関コンソーシアム6大学合同公開講座」の3回目、私が担当しました「子育てをして気づくこと」の講座にたくさんの方がおこしくださいました。
準備した机の席がうまり、後ろに椅子をたくさん出しての講座になりました。
当日、大変な大雪の中にもかかわらず、おいでいただきましたみなさんに、心より感謝いたしたいと思います。
ありがとうございました。

来年度、東北女子短期大学でも公開講座等行っていく予定でしたので、そうした情報も決まり次第、HPでお知らせいたしますので、そちらの方も、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。



その130

「粋なプレゼントを」

毎朝コーヒー豆をひきコーヒーを淹れる。
コーヒーの香りに包まれ、目が覚めます。
それからミリオンバンブーの水をかえて、鮮やかな緑からパワーをもらい元気がでてきます。
一日の中で一番のお気に入りの時間です。みなさんも何かしら自分のお気に入りの過ごし方があるのではないでしょうか。

子どもが小さいうちは、今までのお気に入りの過ごし方の変更を余儀なくされます。
いつも子どものことを最優先にするのが当たり前のような生活になっていきます。
ママも元気な時はいいのですが、時々心も体も調子をくずす時もでてきます。
そのメンテナンスをしていく役割が他でもないパートナーであるパパさん(旦那さん)であれば望ましいですね。

そこで粋なプレゼント!「一人で好きな時間を過ごすこと」をプレゼントにしてあげましょう。
2月14日はバレンタインで、世のパパさんはチョコレートをもらったはず。
おかえしにクッキーをプレゼントするよりも、目に見えないこのようなプレゼントの方が喜ばれるのではないでしょうか?

ママさんの心が元気になれば、家庭も穏やかになり、ほんわかムードになるでしょう。
パパさんの優しさが伝わるホワイトデーになりますように。




 子育てサポートTOP
前へ          次へ

トップページへ