[子育て]

71話〜80話   東北女子短期大学 教授 島内 智秋



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[その71]

●「子育てをして気づく自分の性格」

 子育てを通して、自分の性格に気づかされることがある。
 どうやら私は、乳幼児や児童期の子どもと一緒に遊んだり、何かをしてあげて世話をやいたりするという関わり方が好きなようだ。かわいくて、かわいくて! 津軽弁で言う〈かまいたくてしょうがない〉なのだ。
 そしてまた、かわいがっていることが心地いいのだ。(自己満足もいいところ)
 下の子二人は小2、小3と、まだその時期にいるのだが、上の子は中3。もう自分なりの考えや価値観がしっかりとある。よく話をしていると、今の考え方がよく分かり、少しずつ大人になってきたな〜と感じる。
 息子も年が明けると高校受験を控えた受験生だ。受験生の母としては、テレビに流されている姿を見ると、少々心配になりついつい一言いってしまう。すると、ハッとして勉強しにいくどころかヤル気をうせさせてしまうのだ。
 小さいうちは一言で気づかせてあげる関わりでよかったのだが、少しずつ大人になっていくこの時期には、心をよせておきながらも見守る、という関わりが一番いいのかもしれない。ただ、困ったことがあればいつでも言える距離(心の)にいて…。
 待つことや見守ることは一見、何もしていないように思われてしまうが、放っておくこととの決定的な違いがある。それは、その子のことが心にあるかないか、その子を信じているかどうかなのではないだろうか。
 わかっているけど、ついつい一言いってしまう私は「うるせーな!」と息子に喝を入れられてしまうのだ。母には、いろいろなことにめげない強さが必要なのだな〜と、かくれて涙ぐむ、まだまだ弱虫母さんの私なのでした。あなたは、どうですか?



[その72]

●「いうことをきかない子にイライラしませんか?」

「毎日、毎日、おなじことの繰り返しで、もう言うのもいやだ!全然いうことをきかないし」
 という悩みをよく耳にします。心配性の親であればあるほど言わずにはいられないのです。子どもを心配だから、思っているから言うのに、その思いはうまく子どもに伝わっていきません。
「片付けしなさい!」「歯磨きして!」「もう寝なさい!」「明日の支度はすんだ?」「早く寝ないと明日、起きられないよ」etc。
 そのうちにいつまでもいうことをきかない子どもを見ていると、イライラして、ついついエキサイトして大声で怒鳴ってしまうこともありますよね。
 そこで、いろいろなお母さんの工夫を紹介しましょう。

●Aさん
いうことをきかない子どもにイライラしてしまう自分に悩んでいるとき、学生時代、声楽の講義で腹式呼吸をしているうちに気持ちが落ち着いたことを思い出しました。
 イライラしたら腹式呼吸をしてみたらいいみたい。イライラすると余計な一言で子どもを傷つけてしまっていたんですよね。子どもだってしなくちゃいけないことは、わかっているんですよね。

●Bさん
 カッとくるといつまでもひきずってしまう私は、大きな声で歌をうたうと気分転換になります。

●Cさん
 かんしゃくをおこされたりしてどうにもならないときは、ぎゅ〜っと抱きしめています。不思議と落ち着きます。

●Dさん
 子どもも3人いると、性格が違います。長男は理屈っぽく、次男は単純。長女は慎重派。
 理屈っぽい長男には、納得できるような話し方をしています。次男は単純なので、兄弟げんかのあとなど、ぐずぐずひきずっているときには、目先をかえてあげると気分転換になってケロッとしています。子どもから教えられています。
 子どもへの話し方や関わり方は、子どもによって違います。上の子にいい方法が、下の子にいいわけでもないんですよね。マニュアルがないからこそ、子どもの話に耳を傾けてよく話をしていくことが大切なんですよね。
 私も学園祭の準備で遅い帰宅が続き、忙しくて疲れてくると、子どもの話を十分に聞く余裕がなかったり、イライラすることもあるんです。4人のお母さんに教えられたようように、腹式呼吸や大声で歌をうたったりして心の健康を保ちながら乗り切っていきたいと思います。
 ちなみにお母さんの話は、日曜日の早朝からあった小学校のPTAの資源回収での井戸端会議での話。いろいろな人から教えられますね。

 ※話の中に出てくる学園祭は、私が勤務している東北女子短期大学の学園祭のことです。今年は10月21日(土)・22日(日)に開催されます。
 両日とも午前9時から午後3時までです。子どもが大好きな保育士や幼稚園の先生の卵(保育科学生)が、子どもたちと遊ぶことを楽しみにしています。
 食堂も喫茶も専門校舎のスカイレストランも屋台もあって、おいしいものたくさんです。是非、受付で「島内先生をお願いします」と、お声がけくださいね。
 昨年も2日連続で来てくれた親子がいました。帰りたくないと初日に泣いてしまったから、次の日もお母さんが連れてきてくれたんですね。
 今年も、そんな嬉しい親子に出会えたらな〜と首を長くして、お待ちしています!



[その73]

●「食べる力のある子になあれ!!」

 いつの頃からか、家庭料理が「たんぱく質重視プラス野菜」のおかずを並べ、それに大人はビールや焼酎といった、居酒屋風になってしまいました。その結果、いまや小学生までが生活習慣病を抱えています。
 そういうことの反省もあって、「ご飯とお味噌汁とおかずでおいしくいただく」という普通の日本型食生活のよさが再び見直されるようになってきたのは嬉し いことです。人間が生きていくために、脳は様々な指令を出しています。その脳のエネルギー源となるぶとう糖はご飯のような炭水化物を分解して生まれま す。ですから特に朝は一日のスタートなので、脳を活性化するためにもご飯は必要不可欠なのです。
 ご飯をおいしく食べること、そこを真ん中にして食卓が調って、上手にお箸を使ってお茶碗を空っぽにしていく。こうした食べる力をつけた子は頭もからだも健やかに育ち、どこにいっても(どこの国にいっても)、残さずいただく本物の国際人になるはずです。
 また、子どもが台所入ってきて邪魔するようになったら大歓迎して一緒にそら豆をむいたり、すり鉢でゴマをすってもらったりしてと、親子で楽しみながら「役に立つ喜び」も経験させてあげたいものです。
 そして「おなかすいた」の声に何はともあれ、おむすびを握って渡してあげる、「いつでもご飯のあるおうち」を作ってほしいと思います。



[その74]

●「幼児期に健やかな脳を育てるためには@」

 日頃から乳幼児について学生とともに「子どもにとってどう関わって、どう育てていけばいいのか」について研究、研鑽を重ねている中で、いろいろな本と出合います。
 脳科学の専門の本から学んだことなども紹介しましょう。
 それによると「エリートたちが、なぜ社会的に脱落してしまうのかを探るためにドロップアウト組の脳を調べてみたところ、前頭連合野の働きに問題があることが明らかになった」とあります。
 前頭連合野は脳の部位の一つで、ちょうどおでこの奥にあるところです。
 複雑な社会の中で人間が人間らしく生きていくうえで、必要な能力をつかさどる部分です。
 つまり、この働きがよくないということは、人間らしく生きていく能力も健全に発達していないということなのです。
 また、「4〜6才の幼児を対象に〈親の収入〉〈遊びの時間〉〈ゲームの時間〉など、いくつかの項目をピックアップして前頭連合野の働きとの相関関 係を調べてみたところ、はっきり関係があるというデータが得られたのはたった一つで、それは〈遊びの時間〉」とのこと。
 子ども時代の遊びが大事ということは、これまでも経験的に言われてきたことですが、それが脳科学でも証明されたわけです。
 どんな遊びが健やかな脳をはぐくんでいくのかは次回に紹介しますね。



[その75]

●「幼児期に健やかな脳を育てるためにはA」

 子どもの脳を健やかに育むためには、遊びが大事であるということは、前号で紹介したので、今回は、脳を育む遊びについて紹介していきましょう。
 遊びは遊びでも、お母さんの仕切りのもとで遊んでいるのではなく、さまざまな個性をもつ仲間と自由に遊ぶことが大事になります。自由と言っても、仲間と 遊ぶためにはルールも発生するので、このルールのある遊びをすることが年齢に見合った社会性を育てることにもつながります。
 脳科学の本によると、『脳の部位の一つである前頭連合野は、10歳をピークに25歳まで発達するが、特に幼児期にふさわしい環境が与えられないと、うまく発達しないで固まってしまう』とありました。(前頭連合野については前号をご覧ください)
 例えば、人の気持ちを理解する能力なども、子どもの頃から少しずつ育てていくことが大事で、あとになってからまとめて育てるというわけにはいかないのです。
 幼児期に経験させなければならないことは、その時にちゃんと経験させないと、育つものも育たないのです。だからこそ、幼児期にはたっぷり遊ばせて、脳の前頭連合野をしっかり育て、人間としての土台を築いてあげることが大切! ということがいえます。



[その76]

●「躾(しつけ)はなぜ大切なのか」@

 躾(しつけ)とは、子育てにおいて親が子どもに礼儀作法などを教えて、身につけさせることです。躾はその字の通り、身が美しいと書きます。それは外見の美しさではなく、その人の所作や言動のことです。
 子どもが社会に出たとき、家庭できちんと躾を受けた人と、そうでない人とでは大きな違いが出てくるように思います。
 社会生活を営む上で必要な言動や所作だけではなく、社交性やコミュニケーションをとる力、協調性などにも差が出てきているようです。
 これが身についているかどうかは、子どもの時期の家庭における躾が大きく影響しているように思います。だからこそ、身を美しくするための「しつけ」が大切なのです。
 また、「しつけ」には、裁縫において本縫いを正確に、きれいに行うためにあらかじめざっと縫い合わせておくという意味もあります。
 社会生活をきちんと送れるように、大人としての形がくずれないように、時には叱り、時にはほめて、子どもの縫い目が狂わないようある程度の道筋をつけてあげるのが、「しつけ」という親の務めだと思うのです。
 ある程度の道のりをつけてもらった子どもは、どんな局面に遭っても、乗り越えていけるはずであるし、親も子どもに躾さえしていれば、ある程度は安心なのではないでしょうか。



[その77]

●「躾(しつけ)はなぜ大切なのか」A

 躾とは何なのか、親は理解する必要があります。躾の範囲は、食事や会話のマナー、挨拶、身の回りの整理や管理などのように、とても広いものです。
 しかし、どんな躾にも共通しているのは、「他人に迷惑をかけない」「他人と気持ちよく接する」ために必要なことなのです。
 例えば食事中に子どもがクチャクチャ音をたてて食べていたとします。
 そのときに「音をたてないように食べましょうね」と、ほとんどの親は注意すると思います。
 その理由が、下品だから、汚いから、という人もいると思います。
 それも間違いではありませんが、一番重要なことは「一緒に食事をする人に不快な思いをさせないこと」だと思います。
 最近、若い人にみられる、電車の中などの公共の場における化粧や携帯電話での通話などもこれにあたります。
 携帯電話の公共の場においての通話がいけないのは、うるさいから、ではなく「本来聞いてはならないと思われる、プライベートなことを聞かされた人が不快な気持ちにさせられる」という人に迷惑をかけ、人をいやな気持ちにさせてしまうからいけないことなのです。
 場をわきまえない化粧や飲食(トイレでお弁当を食べていた高校生には嫌な気持ちを通り越して驚いたことがあります)も、同じように見てはいけないものを見せられるから、周囲の人は迷惑に感じ、それはマナー違反だと思うのです。
 どんな躾にも共通している二つのことを踏まえて、なぜいけないのかを一つひとつしっかりわけを話していくことを、小さいうちから繰り返していき、文字通り身の美しい日本の子どもたちに育てていきたいと思うのです。



[その78]

●「子育ての強い味方」

 昔は大家族が主流だったから、両親以外にも、おじいちゃん、おばあちゃんといった、両親とは他の大人が子どもをみていた。
 だから、両親の前では反抗的な子でも、おじいちゃん、おばあちゃんにはちょっと違う顔を見せたりしていた。
 他の大人が、その子の別ないいところをちゃんと見てフォローしていたのだろう。
 でも今は、核家族が主流。親に見せる顔しか知らないと、思春期あたりに親子関係がいきづまってしまいそうでもある。
 核家族の場合、両方の親が遠いと日常的に見ることができない。そんな環境の中で、その役割をしてくれるべく大人にはどんな人がいるののだろうか。近所の人、幼稚園や保育所の先生や父兄、子どもの習い事の先生など、案外と周りにはたくさんいるものだ。
 大人も子どももいろんなチャンネルを持っている。家でダラダラしている子どもも、学校で見せる顔と家庭で見せる顔は違うが、それでいいのではないかと思う。
 ちょっとひいて見てくれる、他の大人の目、そしてそれを教えてくれる人の心を大切にし、子育ての味方を増やしたい。



[その79]

●「子どもの話をちゃんときけていますか?」

 子どもが成長していくにつれて、いろいろなことを話すようになってきました。いま気になっていること、友達や先生のこと、コンプレックスに思っていること…などなど。
 話を聞いていても、親として「これについてはこうした方がいい」という考えが頭をもたげ、聞き役に徹することができないでいることが多いことに気づきま した。学生の悩み事には聞き役に徹しているのに、こと自分の子どもになると、口出ししてしまっているのです。こうしたときは決まって途中から子どもがイラ イラしだし、けんか口調の話し方になってしまいます。
 そこで自分で意識して、聞き役に徹してみようと思い、試してみました。
 学校に行きたくないという小2の息子の気持ちをくみ取り、「そう、いきたくないんだね」など、子どもが話したことを繰り返し聞き返したりして受け入れながらの聞き役に徹しました。
 すると、行きたくないと思っている理由や、それをどうしたいと思っているかについてや、なんとかするためにはこういう方法があるなど、自分で次々に話してきたのです。
 前であれば、行きたくないと言っている息子を何とか行かせようとし、気持ちを聞く前にいろいろと言いすぎて、逆にかんしゃくを起こさせてしまう悪循環の繰り返しでした。
 しかし、この日は聞き役に徹したところ、息子がたくさん思いを話してくれたり、自分で解決方法を見つけて話したりした後、気持ちを切り替えて、一人で学校に行く準備を始めました。気持ちを受け入れられた満足感は、子どもの自立を促す促進力になるのだと実感しました。
 この日「よ〜し、この調子で大きくなってきた子どもたちの話をよくきいて、できるだけどうこう言いすぎず、たくさん子どもが話して、受け入れられた満足感をたっぷり感じられるようにしていくぞ〜!」と、心に決めました。
 大きくなっていくにつれていろいろな話ができて、お互いから学びあえるような関係になっていけたらいいな〜と、これからの親子の会話を楽しみに思いました。



[その80]

●「ありがとうの気持ち」

 息子が義務教育を終えました。卒業式では小さかった頃から今までのいろいろなことを思い出し、成長を嬉しく思いました。
 卒業式から家に帰ると息子から郵便手紙が届いていました。中には「いままでありがとう。これからもよろしく」と書いてありました。何度も読み返していく うちに、涙溢れて文字が見えなくなりました。息子からは幼稚園での母の日の似顔絵やカーネーションとそのたびに嬉しい気持ちをもらってきました。
 卒業のシーンで先生に花束や手紙、握手、胴上げと感謝の気持ちの表し方はたくさんあります。もちろん大切なのは感謝の気持ちを持つことですが、それを伝 えることで、伝えられた人も嬉しい気持ちにもなるし、それを見て伝えた側も嬉しくなり、感動も2倍になります。いろいろなセレモニーがある、この時期、素 直に思いを伝える大切さを息子から学びました。



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