[青森県内観光]
 
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遊歩写真旅!あおもり岬めぐり

津軽西海岸─その9

〇千畳敷は「偉大なる盤石」「大戸瀬の奇勝」

 深浦町の千畳敷(せんじょうじき)海岸を「世にも斯ばかり偉大なる盤石あるかと驚く」と表現したのは明治・大正期の文人・大町桂月、また「大戸瀬の奇勝」とその小説に書いたのは太宰治です。
千畳敷海岸の入り口に建つ文学碑にこれらの文章が刻まれています。
寛政4年(1792)の大地震で、海床が隆起して水面に現れたとされ、千畳敷の名は、かつて弘前藩の殿様が、ここに千畳の畳を敷かせて宴会を開いたことに由来するといわれています。
周辺には奇岩・怪岩も多く、代表的なのは「かぶと岩」で、その名は日本の甲冑(かっちゅう)ではなくて、西洋の兜に似ているためで、実際に見てみるとそのいわれに納得します。
このほか、「ライオン岩」「鷲岩」「潮吹岩」「鎧岩」などがあ、どれも長い年月の浸食によって形づくられた自然の造形美です。
また、岩盤が丸く窪んで海水を湛えた場所を「盃乃澗」(さかずきのま)と呼んでいます。
これを称して太宰治は「あたかもお酒をなみなみと注いだ大盃みたいな形なので、これを盃沼(さかずきぬま)と称するのださうだけれど、直径一尺から三尺くらゐのたくさんの大穴をことごとく盃と見たてるなど、よっぽどの大酒飲みが名附けたものに違ひない」と著し、先述した文学碑にも刻まれています。
自身も大酒飲みだった太宰だけに、この呼称に感興をそそられ文章にしたためたようにも思えます。
国道を挟んでJR五能線の「千畳敷駅」もあります。
この駅にはリゾート列車の「リゾートしらかみ」が15分ほど停車、途中下車して周辺の散策を楽しめるようになっています。
ちなみに五能線は青森県の「川部駅」と秋田県の「東能代駅」を結ぶ全長147.2km。1936年の全線開通から82年経った今では、抜群の車窓景観を誇るローカル線として、全国の鉄道ファンの人気を集めています。


千畳敷とJR五能線「千畳敷駅」


大町桂月文学碑


太宰治文学碑


かぶと岩


ライオン岩


日本海沿岸を走る五能線

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