[青森県内観光]
 
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遊歩写真旅!あおもり岬めぐり

下北半島─その15

○海浜公園に文学碑、布海苔海岸も見逃せない

 風間浦村は小さな自治体ですが、海岸景観が優れていることから見逃せないスポットがまだまだあります。
下風呂漁港に隣接して整備されている「海峡いさりび公園」もその一つです。
 この公園のメインは人工池の内海で、潮の干満を利用して海水を引き込むようになっています。
歩いて渡れる飛び石も配置されていて、その形は下北半島の一部をかたどっています。
その内海では、あの伊勢市の夫婦岩とよく似た「二見岩」が目立ちます。
二つの岩は縄でつながれ、背の高い片方の岩には恵比須神社のお社が鎮座しています。
傍らに掲げられた由来によると、大正時代、この地にイカ釣りにきてそのまま居住するようになった人たちが、島根県三保神社に出向いて分霊の許可をもらい勧請(かんじょう)したのだそうです。
公園の一画には、文化勲章受章者で小説家・井上靖(1907-1991年)の文学碑が建っています。
下風呂温泉は氏の小説『海峡』のクライマックスに登場し、井上自身も昭和33年(1958)に訪れ、当時の「長谷旅館」に宿泊、この作品の終局を執筆したそうです。
碑に刻まれているのは「アカヒレアシシギ」と題する一文。
「アカヒレアシシギ」とは旅鳥のことで、小説『海峡』は、この鳥の描写に始まり、この鳥の鳴き声で終わります。
碑文は『海峡』の最後の一節をこの碑のために井上自らがアレンジしたもの。
原稿用紙に井上愛用の万年筆で書かれた文字を石に刻み、印章も彫り込まれています。
ただ、惜しいのは今現在の文学碑は、経年の劣化でこの刻まれた文字が非常に読みにくくなっています。
井上の筆跡を知ることができる貴重な文学碑だけに、できれば修復とともに傍らに解説版でも設置していただきたいものです。
 このほか、風間浦村は布海苔(ふのり)の産地としても知られ、布海苔記念公園では、毎年2~3月にかけて「布海苔採り体験ツアー」が行われ、夏場には布海苔などの海産物直売所「ふのりちゃん」が営業します。
さらに、筆者的には村役場などがある蛇浦(へびうら)地区の高台に建つ大石神社からの眺望もおすすめです。


海峡いさりび公園の二見岩


海峡いさりび公園の一画に建つ井上靖文学碑


布海苔記念公園


布海苔記念公園にある海産物直売所「ふのりちゃん」


大石神社からの眺望


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