[青森県内観光] | |
「 写真エッセイ─あ お も り 心 象 百 景 」 |
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写真・文 山内 正行(編集者/青森市在住)
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あおもり心象百景 その6 | |
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岩木山─Ⅵ 海越しの津軽富士 『新岩木風土記』(柴田重男著・津軽書房刊・1983年)の本文冒頭に次のような一文がある。 ─津軽の何処からも岩木山が眺められる。 アソベの森なる原始より、土民は聖なる信仰を抱いていた。 「イワキ」はアイヌ語の「祖先の祭場のある神なる山」を意味し、「アソベ」は「火を噴く岩の流れ」を意味するという。 降って日本海時代に入るや、何時しか船人行き来の目印の山、往来山(いわきさん)となっていく。 そう、岩木山は古来より、航海の目印であったのだ。 右の「日本海時代」とあるのは、江戸時代、日本海航路で活躍した北前船(きたまえぶね)での海運のことと推察する。 事実、北前船が寄港した西津軽郡の鰺ヶ沢町や深浦町からは、実にいい姿の岩木山を望むことができる。当時の船乗りたちはその山容を見つけて、津軽に着いたと実感したに違いない。 深浦町北金ケ沢の海岸から仰ぐ岩木山がいい。海の向こうに集落を挟んで聳え立つ。早春は、その山頂部がまだ真っ白で、青空にくっきりと映える。 筆者は、このように海の向こうに見える岩木山のことを“海越しの津軽富士”と勝手に呼んでいる。 独立峰ゆえに、海に浮かぶようにして存在するその姿は、凛々しくもあり、神々しくもある。 北津軽郡中泊町の小泊や十三湖の河口、五所川原市磯松の海岸なども、“海越しの津軽富士”の景観を楽しむには、格好の場所である。 サイギサイギ(懺悔懺悔) ドッコイサイギ(六根懺悔) オヤマサハツダイ(御山八代) コンゴウドウサ(金剛道者) イーツニナノハイ(一々礼拝) ナムキンミョウチョウライ(南無帰命頂礼) このお山参詣の際に唱える祭文が、“海越しの津軽富士”を拝むたびに頭をよぎる。 |
深浦町北金ケ沢から(3月下旬) 北津軽郡中泊町小泊から 手前のシルエットはライオン岩(4月初旬) 十三湖大橋から(4月初旬) 五所川原市磯松から(4月下旬) 前へ 次へ |
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