[青森県内観光]
「 写真エッセイ─あ お も り 心 象 百 景 」
写真・文 山内 正行(編集者/青森市在住)
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あおもり心象百景 その10


青い海公園─スズガモに誘われ

 4月初旬、春日和の朝だった。
 青森市の青い海公園に出かけ、海辺のデッキからかつての青函連絡船「八甲田丸」の方向を見たら、海面に小さな物体が何個か浮かんでいた。
 携えていたカメラで、ズームアップしてみると、そこには鳥の姿があった。
その顔は黒く、目は黄色く、背は灰色で腹は白くて、なんとも美しかった。
 それまで野鳥には、あまり関心がなく、名前などは知るすべもない。
あとで図鑑を購入して調べてみたら、スズガモであることがわかり、しかもそれはオスだと判明した。
 美しいと思い、かわいいと感じ、自然における生命の多様性に心動かされた。
 それからというものやけに野鳥の姿が、目に入るようになる。意識することで、それまで見えていなかったものが、自然に見えてくるということなのか。
 そうなると、どんどん興味は増して、野鳥観察にのめり込むことに……。
 とはいっても筆者のは、最初にスズガモを見たせいか、もっぱら海鳥の観察・撮影である。
 その理由は、ダイナミックな海原の景観に魅了され、その大自然の中に生息する海鳥が神秘的に思えたからである。
 青い海公園で、スズガモに誘われて始まった野鳥観察は、全県の海岸に及んだ。
 その中でどこがいいかと聞かれれば、津軽半島の東岸部、青森市から外ヶ浜町蟹田あたりまでの上磯地域、と迷わず応えるだろう。
 筆者のような初心者には、身近に野鳥と出合える海岸なのだ。小さな川がいくつかあって、陸奥湾へと流れ込む河口付近が最適である。
 様々な海鳥に出合うその時々は、青森県の自然の素晴らしさを再認識させられる時々でもあった。


かつての青函連絡船「八甲田丸」
手前にはスズガモの一群が(4月初旬)



スズガモ。左に浮かぶ褐色がかったのはメス


青い海公園にある「赤い絲(いと)のモニュメント」
背景は青森県観光物産館アスパム


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