[青森県内観光]

「恵雲と辻風の珍探訪」

 

前へ           次へ
その7

■三十一番 居土普門堂(いづちふもんどう/大鰐町)<1日目>  

○巨大杉の根が異空間にいざなう参道の階段 

 国道7号からそれて西へ向かう。左手の川向こうに温泉街、茶臼山公園、大鰐スキー場になっている阿闍羅山がある。
大鰐温泉駅前を通過。
ピンクの鰐のキャラクター像がスキーを持ってVサインをしているのが目に留まった。なかなかチャーミングだ。
 道なりに三ツ目内川をさかのぼって行くと、居土集落の中に「津軽三十三ケ所第三十一番居土霊場」と書かれた木柱が立ってる。
そこから50メートルほど先の居土集会センターの駐車場にプレハブの納経所があった。
こちらに車を止めてもいいようだ。
 納経所で御朱印をいただき納経料を納めると、記録ノートに先ほど苦木観音で出会った姫路の男性の名前が書かれていた。
「先にこっちに来ていたんだね」。
苦木は三十二番、こちらが三十一番。
先にお参りしていても不思議はない。
 木柱の所から曲がり、鳥居をくぐると山吹(やまぶき)の鮮やかな黄が目に飛び込んできた。
周りは杉の巨木がすっくと立ち並んでいる。
登って行くと途中で階段がなくなり、杉の根が張り出しているのが階段代わりの険しい参道になった。
ただでさえ階段や山登りが苦手な私。
「もうちょっとだよ」と辻風さんに励まされて登ると、一気に視界が開けた。
高台の畑の中、真っ直ぐ伸びた小道の横には白い二輪草が群生して、そよ風に揺れている。
異空間に迷い込んだようだ。
小道の正面の森の前に、また赤い鳥居がある。
ここが熊野神社だ。杉や桂(かつら)の老木に囲まれた境内中央には、樹齢約700年という大銀杏(いちょう)が2本生えていて、その間から熊野神社の拝殿が見える。
ご神馬は今にも走り出しそうに前足を上げていて、狛犬(こまいぬ)は「チシャ猫みたいじゃない?」と辻風さんが言うように、ニヤッとした口元が目を引く。
拝殿右手に普門堂があった。
格子戸は開かなかったが、中をのぞくと丸鏡や太鼓などが見える。
ご本尊はさらに奥の格子戸の向こうにいらっしゃるのか。静かに手を合わせた。
普門堂の右前には、これもまた樹齢約500年の夫婦杉。
根本がつながっている巨木は高さがどのくらいあるだろう。
見上げると首が痛くなった。
ギイ〜ッ。扉が開く音? ギイ〜ッ、ギイ〜ッ! 頭上から聞こえる。
折れた大きな枝が老木に引っ掛かって風に揺れていた。
ザーッと周りの木の葉も揺れる。もう戻ろう。
 参道を下って最初の鳥居まで来て、人心地ついた。
隣の民家には、もうピンク色のツツジが咲いている。
大鰐のツツジといえば、茶臼山公園の「つつじまつり」が5月末頃。もう間もなく見ごろを迎えるのが楽しみだ。


                                           (恵雲)


居土普門堂(熊野神社)
本尊 千手観世音菩薩
御詠歌:我が國を巡り巡りて順禮の 目出度く帰る元の居土へ
〒038-0233 南津軽郡大鰐町居土観音堂1













前へ           次へ
 歩っきゃ!“津軽三十三観音”TOP

トップページへ