[青森県内観光]

「恵雲と辻風の珍探訪」

 

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その21

二十四番 入内観音堂(にゅうないかんのんどう/青森市)<1日目>  

○森の中から読経の声が 湧水トプトプ神様も仏様も仲良し神社

 青森空港を目指して高田十文字から県道27号を南下し、登り坂手前のホテルの向かい側を左折して3Kmほど行くと、右手に小金山神社が現れる。
あたりは緑で鬱蒼(うっそう)としていて、あまり人気のない鎮守の森ムード。
一応バス路線らしいが、バス停の時刻表を見れば日に5本と少なく、過疎地を匂わせる。
入口付近には湧水が、豊かな水量でトプントプンとしぶきを上げている。
カエルやウグイスの気持ちの良さそうなさえずりが聞こえ、それに交じって、ん? お経を上げる声が。
最初は空耳だと思ったものの、そういえば自転車が停めてある。
誰かいるのかな。
登った先は小金山神社で、山道の杉の幹がウロコのように毛羽立って、ゆらりとした螺旋(らせん)模様を描きながら、梢まで高く伸びているのが面白い。
神社のお堂からさらに上の方に観音堂はあるらしく、左側に分かれ道があって獣道がついている。
ふさふさの杉の葉を踏みながら登るに連れ、読経の声が近くなってきた。
やはりこの観音堂の中にお参りの方がいるようだ。
入口には国旗がバッテンに掲げられていて、両脇の柱の上部には立体的な狛犬が彫ってある。
私たちの話し声に気づいたのか、間もなくして中から50代くらいの男性が出てきた。
こうやってきちんと般若心経を読んで納経する方もいるんだ。
中に入って驚いた。正面には「正観音」の額が掲げられているのに、なぜ御神体である鏡が置かれているのか? 
祀られている像は仏像で、祀り方は神道式ということなのだろうか。
いやいや、太鼓、鐘、木魚、御幣、線香ローソクまである。本当に神仏混淆だ。どちらの形式で拝んでもいいんだろうか。
そして、もっと目を凝らすと、部屋の片隅に原型をとどめていない黒ずんだ像らしきものが。
入内観音堂は一度焼失しているので、もしかしたらその時の残骸なのだろうか。
なんとも不思議な気持ちで観音堂をあとにした。
御朱印所は近くの民家のはずだが、道が細く曲がるポイントが不明瞭で迷った。
付近の家に立ち寄って聞いてみたが、農作業に出かけているのか、誰もいない。
ようやく見つけた朱印所は本当に長内さんちの玄関を兼ねていた。
誰かいたら、先ほどの“神様なのか仏様なのか”の真相を聞こうと思ったが、あいにく不在で、謎は持ち帰ることになった。

                                         (辻風)

入内観音堂(小金山神社)
本尊 聖観世音菩薩
御詠歌:おしなべて高きいやしき者までも ここに歩みを運ぶなりけり
〒030-0153 青森市入内字駒田116-4











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