[青森県内観光]

「恵雲と辻風の珍探訪」

 

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その36

■十六番 今泉観音堂A(いまいずみかんのんどう/中泊町・旧中里町)<6日目>

○古くからの霊場・今泉で次々起こる摩訶不思議

民家を囲った塀に「御朱印所」と案内板があり、すぐ脇に1m四方の赤いボックスが設置してあったので、もしや無人タイプの朱印所かもしれないと開けてみた。中から出てきたのは、消防のホース。
よく見ると近くに消火栓がある。
恵雲さんも私も思わず顔を見合わせ、笑ってしまった。
鳥居をくぐって参道を100mほど行くと、またもや結構な段数の階段が上へ伸びている。
階段脇の“赤いほっかむりと紫のくつをまとった狛犬”が勇気づけてくれたので、調子よく一気に駆け上ろうとしたが、間もなく「ズコッ!」と転んでしまった。
後ろからカメラを抱えた恵雲さんが来るので、「この辺気を付けてね〜」と呼びかけ、さらに上へ登ると、背後で「ドテッ!」と物音が。
なんと、またしても同じ場所で恵雲さんが転んだのである。
「カジュアル参拝で楽しんでいた罰だったか?」と反省し、丁重にお参りしようと気を引き締めた。
杉木立の中はしんと静まり返っていて、アルミサッシの扉がついたプレハブ風のお堂が点在している。
鬼神、水神、不動明王が一つのお堂に。
その隣が山神堂、庚申堂だ。真ん中に杉の大木があって、すぐそばに観音堂がある。
お堂の中のレイアウトはいたってシンプルだが、供物としてグレープフルーツやヤクルトなどのなま物が供えられているのには驚いた。
大祭の後だったのか、こまめに管理されているかのどちらかだろう。
帰りは緩やかな遊歩道を下って行き、やはり、先ほど2度も転んだ階段が気になったので、下に降りてから階段をなめるように眺めてみた。
すると、私たちが転んだあたりの階段の高さが一段だけ微妙に高いのである。
これでは、足が引っかかるのも無理はない、たたりではなかったと安堵(あんど)し、次の薄市へ向かった。
途中、山菜と山野草の小さな店があり、物陰に隠れておばあさんが店番をしていた。
うず高く積まれたピチピチの「ミズ」(ウワバミソウ)がおいしそう。
私はミズを購入、恵雲さんはエビネランの小さな鉢を1つ買った。他にも「サルノコシカケ」のような漢方薬なのか、干しキノコのようなものも売っていて、何かと尋ねると、口数の少ない方なのか、言葉にならないような声が返ってきた。
話があまり通じないようだ。
ふと「このおばあさんはどこから来たのだろう」と思った。
ここは近くに民家もなく、人気(ひとけ)が全くないし、孫にでも車で送ってきてもらったのだろうか。
いやしかし、ここは霊場、突如現れた、言葉の通じないおばあさんが、またしても異界の人に映ったのである。  (辻風)

今泉観音堂(神明宮)
本尊 千手観世音菩薩
御詠歌:昔よりありとも知らぬ今泉 千手の神のしるしなるらん
〒037-0301 北津軽郡中泊町大字今泉字唐崎81
TEL 0173−58−2036














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