[青森県内観光]

「恵雲と辻風の珍探訪」

 

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その38

八番 日照田観音堂@(ひでりだかんのんどう/鯵ヶ沢町)<7日目>

○里山の水田見守る社殿まで138段

国道101号に戻り日本海に出ると、青い海沿いに並んだイカ焼きの店をやり過ごす。
イカを開いて屋外にずらりと干す“イカのカーテン”と、ブサカワ犬と呼ばれてブレイクした秋田犬「わさお」目当ての観光客が訪れる場所だ。
潮風に乗ってイカを焼く香ばしい香りが漂ってきた。
 踏切を越え、赤石川上流に向かって県道190号を山手に入っていくと日照田の地名のとおり、苗を植えたばかりの水田がきらきら光って広がっていた。
この道をさらに行くと「光信公の館」がある。以前訪れたことがあるが、津軽藩の祖・大浦光信が拠点とした種里城跡(国史跡)で、今は800本あるという牡丹(ぼたん)園で知られている。
色とりどりのあでやかな花の見ごろは6月上旬。もう間もなくだろう。
御朱印所となっている安田商店は、看板が出ていてすぐに分かった。
「赤石川遊魚券 おとり鮎 有ります」と書いてある。
白神山地から流れる清流は川釣りのスポットなのだ。
「御朱印をいただきたい」と店に入っていくと、奥の部屋から御朱印と台を持ってきて押してくれた。記録ノートを見ると、ほぼ毎日、巡礼者が訪れている。
聞くと、東日本大震災の年は減って1000人ぐらいだったけれど、例年だと年間1500人以上は訪れますよ、とのことだった。
道なりに行くと、左手に大きな鳥居が立っている。
そこから田んぼを突っ切るように真っすぐ伸びた参道の突き当たり、杉林に包まれた小高い山のふもとに赤い鳥居が見えた。
用水路の水音が勢いよくゴボゴボ響き、鳥居の右手に青銅の聖観音様が出迎えてくれた。
見上げると御社(やしろ)まで真っすぐに狭い急な石段が。
「これ登るの!」と絶句する私。
私たちの後からお参りに来た数人が石段を登っていく。
「頑張ろう」辻風さんに励まされ、登った。
登り始めの左手には気根がたくさんぶら下がった大きな銀杏(いちょう)の御神木が鎮座し、石の観音様も見守ってくれている。
なんとか138段登りきった。さすがに息が上がる。
でもほかの参拝者も登ってきて「お疲れ様」と声を掛け合うと、清々しい笑顔が広がった。
杉に囲まれた爽やかな境内にはぽっかりと開けた場所があって、緑の苔(こけ)でびっしりと覆われている。
木漏れ日が差し込んでつややかな緑を照らし、まるで沼のように見えた。
(恵雲)

日照田観音堂(高倉神社)
本尊 十一面観世音菩薩
御詠歌:澤山や朝日かゞやく日照田を 照らさせ給う観世音かな
〒038-2732 西津軽郡鯵ヶ沢町日照田












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