[青森県内観光]

「恵雲と辻風の珍探訪」

 

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その42

五番 十腰内巖鬼山観音堂A(とこしないがんきさんかんのんどう/弘前市)<7日目>

○鬼神太夫の刀を奉納した鬼伝説、奉納額に鬼の面

 津軽富士・岩木山は、山そのものが信仰の対象になっていて、3つの峰はそれぞれ阿弥陀如来(岩木山)、十一面観音菩薩(巖鬼山)、薬師如来(鳥海山)とされて、岩木山三所大権現と呼ばれる。
下居宮ではなくなったが、観音様を祀(まつ)っていた巖鬼山観音堂は、津軽氏の祖・大浦光信や津軽為信など津軽家歴代藩主に信仰されてきた。
為信の長男・信建が慶長9年(1604)に奉納した鰐口(県重宝)もある。
拝殿の前には、頭巾をかぶった江戸時代のものから昭和、平成の作と、3組の狛犬が愛嬌のある表情で出迎えてくれ、多くの人々に信仰されてきたことが伝わってくる。
奥の本殿(県重宝)には入ることができないが、塀越しに、これまた凛々しい顔の狛犬が見えた。
さて、拝殿に上がると、正面左手に観音様が安置されていた。
手を合わせ、改めて拝殿内部を見回すと、色とりどりの奉納額が掲げられていて、なかなか見ごたえがある。
歴史上の名場面を描いたものや馬具もあった。
中でも目を引いたのが大きな赤鬼の面だ。
岩木山北麓には鬼伝説が数々残っている。
湯舟観音堂に祀られていた刀鍛冶の鬼神太夫は、10腰(本)の刀を鍛えて自慢していたが、そのうちの1本が飛んでいって杉の木に刺さって無くなり、「十腰無い、十腰無い」と言ったことからこれが十腰内の地名になったと伝えられている。
鬼神太夫の残った刀は、ここ、巖鬼山観音堂に奉納されたという。
また、この近くの鬼沢地区には鬼神社もある。鳥居に鬼を飾っている神社は他にもあり、“鬼”を巡る愛好者もいるようで、なかなか興味深い一帯だ。
岩木山観光の拠点は岩木山神社に移ってしまったが、由緒ある立派な社殿と広い境内を散策して、ゆったりと森林浴できるスポットではないだろうか。
(恵雲)

十腰内巖鬼山観音堂(巖鬼山神社)
本尊 十一面観世音菩薩
御詠歌:詣るより頼みをかけし十腰内 聞きしにまさる古き宮だち
〒036-1201 弘前市十腰内猿沢78-7











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