[青森県内観光]

「恵雲と辻風の珍探訪」

 

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その48

十三番 川倉芦野堂A(かわくらあしのどう/五所川原市・旧金木町)<9日目>

○終戦直前の奉納飛行機に感慨ひとしお

 杉木立の中にある三柱神社の境内を進むと豆絞りで頬被りした狛犬(こまいぬ)が出迎えてくれた。
拝殿の向かって左手前には、樹齢500年のケヤキの大木がどっしりと立っている。
神社にもお参りし、ふと見上げると、庇(ひさし)の下に木製の飛行機が奉納されていた。
「陸軍特別幹部候補生 航空兵合格記念 昭和二十年五月十二日って書いてある。すごい……」
辻風さんが絶句した。
主翼に『若櫻』と大きく書かれ、日の丸がついたプロペラ機。
胴体には大きな黒い爆弾が付いている。
ゼロ戦か。終戦まで3カ月。
奉納した2人の名前もあって、若者だったのだろうか、特攻隊だったのか、生還したのだろうかと思いをはせた。
そして、この飛行機が70年もここに掲げられてきたことに、辻風さんと一緒に感動してしまった。
川倉地区には川倉賽の河原地蔵尊堂もある。
芦野湖の東側にあって、約2千体のお地蔵様が祀られている。
辻風さんが以前行ったことがあるといい、「わらじや着物が、ノミ市かと思うほどずらっと供えられていたよ」とのこと。
例大祭にはイタコの口寄せも行う、知る人ぞ知るミステリースポットだそうだ。
金木の町中に戻って、観光物産館に立ち寄った。
太宰治の生家で、現在は太宰治記念館になっている斜陽館の真向いだった。
さまざまな太宰グッズが並んでいる。
敷地内には津軽三味線会館があり、その奥には雲祥寺がある。
太宰が幼少のころ乳母タケとよく訪れた寺で、ここにある地獄絵が恐ろしかったことが小説『思い出』にも書かれている。
芦野公園には文学碑や太宰治の銅像もあり、文学ファンならぜひ訪れたい土地だ。
(恵雲)

川倉芦野堂(三柱神社)
本尊 聖観世音菩薩
御詠歌:みなかみは何處なるらん川倉の 耳にこと問う山彦の聲
〒037-0201 五所川原市金木町川倉字林下91












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