[青森県内観光]

「恵雲と辻風の珍探訪」

 

前へ           次へ
その53

二番 清水観音A〜番外岩屋観音(きよみずかんのん〜ばんがいいわやかんのん/西目屋村) <11日目>

○聖地・乳穂ヶ滝で木の葉舞う怪奇現象

 西目屋村では極寒の2月に「乳穂ヶ滝(におがだき)氷祭り」が行われる。
高さ33メートルの白絹のように細く流れる滝が凍り、凍った氷柱の形状で作物の豊凶を占うものだ。
では、新緑の季節の乳穂ヶ滝はどんなだろう。
県道28号線沿いの鬱蒼(うっそう)とした杉木立に包まれた森。
正面には大きな石の剣が立ちはだかっている。林を分け入ると、奥行きは広く、神様が降り立つような雰囲気の広い水辺空間が現れた。
30mもの高さから数本の蜘蛛(くも)の糸のような滝が、音も立てずに、スーっと降り注いでいる。
神秘的で、鳥肌がたつ。滝壺の上部には拝殿があるようだ。
階段で登って行けるようだったが、下からこの拝殿を眺めていると、まるで黄泉(よみ)の世界の人々が、この舞台で能でも舞っているような厳かな雰囲気があるので、近づけなかった。
あたりは静まり返っているのに、何かいる気配があるのだ。
なんとも不思議な気持ちに包まれながら、車に戻ると、オレンジ色の木の葉がたくさん空中に舞っている。あれ、秋でもないのに紅葉かな? 
それとも越冬した落ち葉が風に舞っているのかな? 
いや、変だ、風は凪(な)いでいる。 
恵雲さんに「なんだろう、この葉っぱは?」とたずね、車の中に入ってからガラス越しにじっくりその木の葉を眺めると……なんと、蝶々!!!
何万匹ものオレンジ色をした小さな蝶がぶわぁっと天高く舞っているではないか! 
私は蝶や蛾や、羽の生えたものは大の苦手。
もう、鳥肌でガチガチだ。
「ギャー、窓しめっ、しめてくれー」と騒ぐ私をよそに、恵雲さんはニコニコと、蝶にカメラを向けている。
「こわくないの?」
「ま、そんなには……」
いやしかしこの量は尋常じゃない。
空がオレンジ色に染まっているのだから。
下手に動くと蝶をつぶしてしまうし、しばらく車中で収まるのをまつしかない。
翌日の新聞に、この界隈でシジミチョウ科の赤シジミが異常発生したとの記事がでていた。
特にこの蝶が好む植生でもないのに、なぜか大量に樹にとまっていたりしていて、地元の研究者も原因はわからないらしい。
何か環境の変化を告げる神様のお使いなのか。
一生に一度あるかないかの“霊験あらたか”だった。
(辻風)

番外 岩屋観音
御詠歌:萬代の誓いをこゝに頼みおく 水は苔より出ずる宮かな
西目屋村田代山科
TEL 0172-85-2111(西目屋村役場)











前へ           次へ
 歩っきゃ!“津軽三十三観音”TOP

トップページへ