[青森県内観光]

「恵雲と辻風の珍探訪」

 

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その54

二番 清水観音B〜番外岩屋観音(きよみずかんのん〜ばんがいいわやかんのん/西目屋村) <11日目>

○清水臨む岩窟のお堂、参道はアドベンチャーロード

 西目屋村役場からほどなくして「岩谷観世音」の看板が現れる。
「岩屋」とも「岩谷」ともいうらしい。馬の石像が着ている衣服の鈴が風になびいて、リンリンと私たちを出迎えてくれた。
ここにあった縁起によれば、昔2本の角を持った神馬に乗っていた河辺村の唐牛三左衛門が、この地でめまいを起こして落馬し、馬は川沿いの洞窟で倒れていた。
悲しんだ三左衛門が、馬の霊を岩谷内に祀ったのが始まりとされている。
うーん、行基上人の建立説とは異なる。村の伝説かな、親近感がわく由来だ。
参道の階段はかなり急なくだりになっていて、下から水の音が聞こえる。
道は確実に水辺に向かっているのか。
ゆっくり慎重に降りたので5分はかかったと思うが、川幅20m程の岩木川が現れる。
雨のあとで増水しているのか、参道は川べりに直面していて、ちょっと間違えばザブンと川におちてしまうほど、水面ギリギリなのだ。
足が滑らないように必死に手すりにしがみつく。
「ひゃー、アスレチックみたい!」と歓喜だか恐怖だか分からない奇声を発しながら、拝殿に向かう。途中参道がこわれていて滑落の危険を何度も体験しながら、1qくらいも歩いたように感じたが、やっと岩窟の上の方に朱塗りの拝殿が顔を出した。
天井に岩肌の迫る、細〜い階段を登らなければ辿りつけない。
恵雲さんにカメラに気を付けてもらいながらよじ登ると、四畳半くらいか、頭がつきそうなくらい低い天井で、小さなお堂を配した舞台のような空間に出た。
お堂の上の岩からはピシャピシャと水が湧いていて、それを受けるためなのか、屋根の上にトタン板がのせられており、水が下に流れるよう工夫されている。
じっと見ていたら、屋根の奥にシュッと小さな影が走った。またシュッ。
あ、こうもりだ。
ひんやりとカビくさい水のにおいのする洞窟に、かわいい珍客。
いや、私たちの方が珍客か。
ここは彼のすみかなんだろう。
「おじゃましました〜」と拝殿を後にする。
帰りも恐る恐るだったが、しかし、何度見ても絶景。
滔々(とうとう)と流れる川面に、そろそろ夏を迎えそうな緑、それに所々露出している白い岩肌が美しい。
こんな秘境に昔の人はほぼ人力でお堂を建てたのだから、感服する。
そういえば、番外の御朱印はどこだろう。
さきほどの拝殿にスタンプはあったが、朱肉が乾ききっていて、ほとんど写らなかった。
もしかしたら朱印所は別にあるのかもしれない。
これから二番の札所に行って聞いてみることにしよう。(辻風)


番外 岩屋観音
御詠歌:萬代の誓いをこゝに頼みおく 水は苔より出ずる宮かな
西目屋村田代山科
TEL 0172-85-2111(西目屋村役場)
 



















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