[連載]

  411 ~ 412       ( 鳴海 助一 )


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その411
 「くじもめし」
 動詞サ変。くじもめし。
口論すること。言い争うこと。
これは「くじごだェ」と少しちがう。
親にとか、長上にとかの意味はなくて、普通の(同等の)「くちげんか」のことである。
「もめ」「もめる」の連用形で、「口」と結合して、体言となる「くちもめ」。
そこで、「為」というサ変の動詞に、更に結びつけて、複合の「サ変動詞」となるのである。
この例は極めて多い。
「売り惜しみする」「買いだめする」「夜ふかしする」「夜勤する」等々。

※ヨベラマダ、酒のみドァキテ、くじもめしテラ。
○ゆうべまた、酔っぱらいが来て、口論していた。

※カェドノマンナガネエデ、オッロソシグ、ぐじもめしテエタネ。フトァミンナタガテキテヨ。
○道路のまん中で、ひどく口論していたゼ。近所の人や、通行人がいっぱいタカッていてサ。

▲「もむ・揉」の語源は、いろいろ考えられるが、その根本的なものは「生む」であろうという説にしたがいたい。
詳細は省く。意味用例も極めて多い。
①手でもむ。②身体をもむ。
③キリでもむ。④風にもまれる。
⑤もみにもむ(戦場)。⑥気がもめる。
⑦相手をもんでやる(相撲のけいこ)。
⑧火をもみ消す。
⑨嫁をもむ(姑が責めさいなむ)等々。
津軽方言では、「もむ」を「もぐ」という。



その412
 「くじむさェ」
 形容詞(複合語)くじむさェ。
「口」と方言の「むさェ」と結合した「複合形容詞」である。
「むさェ」は形容詞で、意味は「あっけない」の反対で、「キザミ煙草」は「むさェ」とか、暖気が続いたから「木炭がむさェしてら」とかのように、「長持ちがする」というほどの意。
ところが「口がむさェ」となれば「ああ言えば、こう言う」「こう言えば、ああ言う」といったように、弁解したり、いやにからんできたり、ネチネチと執拗に口論したりする。
そのような意味になる。
つまりあっけなく(あっさり)負ける。
というのではなく、その反対である。「執拗」「剛情」。

※アオ、オドナシンテデ、ナガナガくざむさェンダ。
○あのように、温厚なようにみせても、あれで、言い出したとなると、おいそれと、後へは引かないよ。

※コレァくざむさェワラシダ。タンゲェネシテオゲ。
○こいつ、なまいきな子だ。いいかげんやめなさい。

 なお、この「むさェ」は「あいつ、むさいつらしやがって……」などとも用いられるが、その場合は、「なまいきな」とか「一くせありそうな」とかの意味である。



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