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葉月 祐 10


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[ 詩 ] 2017/4/30






『 春の向こう側 』


頭上に張り巡らされた
桜の枝の群れは
まるで
自然という器を駆け巡る
血管のようだった


見上げれば見上げる程に
時の中に無限を感じた


道行く人々は皆
可憐な花を揺らす
薄紅色の木々の向こうに
新しい季節を見ている

足早に過ぎようとする春
その向こう側から
きらめく太陽が
生まれたての夏を連れて来た


健気に花を散らし始める
春のトンネル

その向こう側から
新しい季節が
脈を打ち始めた報せが届いた

春爛漫の 昼下がり
季節は今も 巡り続けて



                                          

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