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葉月 祐 13


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[ 詩 ] 2017/12/12



『 真冬を行く 』



一寸先の世界が

真っ白に

塗り潰されていく



足跡など残りはしない

すべて風にさらわれ

消えていくのだ



耳鳴りを掻き消し

悲鳴をあげて吹雪く

冬の声だけが

鮮明に響き渡る



役目を果たせない

傘を下ろすと



まるで真冬の渦に

呑み込まれていくように



わたしもまた

真っ白に

塗り潰されてしまった



まさか
このまま

消えてしまうのだろうか


恐怖に
寒さに
震えながら



髪に積もった雪を

必死に払い落として

足跡も残らない
白一色の冬の道を
切り拓くように 進んだ



                                          

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