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葉月 祐 14


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[ 詩 ] 2020/9/15



熱い夕焼け空に
一滴 また一滴と
つめたい墨が落とされている

とぷん とっぷん

とぷり とぷん

その度に
あたりは静まり
ゆっくり、深く、暗く

今日を 夜に変えている

まあるい太陽は
宇宙のまなうらにおさまり

町にともるのは
わたし達が住む家の明かり

アスファルトに落ちる
まだかすかに温かい影が
墨のしずくが
時を加速させている

とぷん とっぷん

とぷり とぷん

わたしは墨をかき分け
我が家をめざして
帰り道を 歩く

一歩ごとに
存在感を
増してゆく




                                          

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