[投稿]

葉月 祐 8



前へ          次へ


[ 詩 ] 2017/3/3



『 春眠 』


透明な春の匂いが
静まりかえった夜を
そっと包み込む

赤みがかった夜も去り
季節が柔らかみを増していく


午前三時の街に鳴り響く
新聞配達のスクーターの音


まだ目覚めない街より早く
動き始めた人々の生活音


あたりは まだ暗いが
街はけして呼吸をやめない


毎夜 まぶたの奥で
訪れる眠りの深さに
確かな春を感じ取っている


暦をまた一枚
めくる夢を見ながら
わたしは
二月の終わりを迎えた



                                          


前へ          次へ


トップページへ