[子育て] | |
131話〜132話 柴田学園大学短期大学部 学長 島内 智秋 |
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[その131]
●「革のリボン、ありがとう」化粧ポーチのチャックに付いているピンクの革のリボンがとれました。 「まあいいや、飾りだから」と気にもとめずにいました。 ところが、次に化粧ポーチをあけようと金具をつかんで力を入れたところ、なかなか開かなくて困りました。 その時に、「ああ、あの革のリボンは飾りだけじゃなく、チャックを開けやすくする役割もしていたんだ」と気付きました。 大切さに気づく時は、なくした時にわかることが多いのではないかと思います。 それはモノばかりではなく、ヒト・環境・時間…など、いろいろなことにあてはまるのではないでしょうか。 その時、モノでは新しい物を買うのか、大切さに気付いて直すのかの選択があると思いますが、私は是非、子どもにも知らせる意味で、一緒に直すことをおすすめしたいと思います。 モノがどのような仕組みで出来ているのか、どのような直し方がいいのか、親の工夫に学んだり尊敬したりします。 また、私のようなぶきっちょさんでも、一緒に取り組む中で、子どもに教えられたりすることで、子どもの成長に気付き嬉しくなります。 さらに一緒に苦戦しながらも完成した時には、「やったね!!」と完成の喜びを共有でき、嬉しさ2倍で、いいことずくめです。 一つ一つの大切さを実感していて、丁寧な暮らし方をしたいものだと、革のリボンから教えてもらったような気がします。 [その132]
3月1日、市内の高校に学長代理で参加してきました。 本学に入学が決まっていた生徒さんもいたので、楽しみにしていきました。 卒業生入場。担任の先生の後ろに卒業生が続きます。 一人一人の歩き方や、礼の仕方を見て、その生徒がどのような過ごし方をしているのかわかるような気がしました。 卒業式の後半に送辞や答辞のあたりから、ぐすぐす感動で泣いている生徒がちらほらとみえました。 私も感動して涙がぽろり。 そして卒業生退場です。 卒業生退場では、泣いている生徒、感動して表情が輝いている生徒と、みんないい顔をしていました。 するとどうでしょう。 入場時に見られた、普段の自分を意識した歩き方や礼の仕方がみられず、とてもいい歩き方や心のこもった礼をしていました。 その短時間での変化に、感動がもたらす人を成長させる力ということを強く感じました。 「感動体験」をいかにできる環境にするかということが、子どもの心を育てることにとても大きいウエイトをしめるように思います。 感動体験のチャンスは、日常生活の中にたくさんあります。 お料理の下ごしらえの場面では、たとえば豆を水につけておくと、豆が水を含んで大きくなることの発見、かたいライスペーパーが水につけると軟らかくなり、野菜やお肉を包めることの発見、お米をといでたくとご飯になることの発見…と、たくさんの「おもしろい」があります。 外にでても、雪が衣服につくと雪の結晶がはっきり見えて、なかなか消えずにしばらくみることができます。 一つ一つを親子で体験できるといいですね。 こうしたことが子どもの心をピュアにしていき、その感動を共有する大人の心も澄んでいくのではないでしょうか。 2012! 親子でたくさんの感動体験を。
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