[子育て]

31話〜40話   東北女子短期大学 教授 島内 智秋



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[その31]

●「お正月のすごし方」

 初詣とは、神社に行ってお願い事をすることと思っている人が多い。正しくは神様に昨年のお礼をした上で、今年の抱負を誓うというのが、初詣の本当の意味らしい。
 神社に行かないまでも、家族の中で1年を振り返り、来年の目標などを話し合いたいもの。案外、その中から子どもの成長ぶりを感じることも多いはず。普段 は親子でゆっくり話をする時間も持てず、夕食・お風呂・就寝という日々のメニューを次々にこなすのが精一杯なので、時間のある正月休みに、親子でどっぷり 正月遊びもいいですね。
 昔ながらのすごろく・羽根つき・独楽(こま)回し・凧(たこ)揚げ・福笑い・カルタのほか、トランプ・あやとり・ジェンガ・ウノなども家族でやると楽しい。準備がいらないものでは腕相撲・指相撲もある。
 また、TV番組の『学校へ行こう』の休み時間向上委員会や『伊東家の食卓』の中で紹介されているゲームも楽しいものが多いようです。
 家族ゲームで面白さを盛り上げるのが大人の本気。子どもに負けずに、いっぱい遊ぶぞー!



[その32]

●「正月遊びで気づいたこと」

 前回に紹介した正月遊びを楽しんでみたでしょうか。
 今年、我が家で人気だったのはカード遊びのUNOや、それを応用したUNOドンキー。末っ子がルールを理解し、参加できるようになったことから楽しめるようになった。
 昨年まではルールが分からないためにすねたり、別室に走っていってしまったり、負けると大泣きしてカードを投げ散らかすことが多かった。
 今も、負けると少しべそはかくものの「もう一回やって!」と粘るようになり、ひとまわり逞しくなったようで嬉しい発見をした。
 また、兄弟3人で合図をしあい、私を負かそうと組んだり、1年経ってまた新たな兄弟関係の育ちを見て、なんともいえない温かい気持ちになった。
 ケンカも激しく、互いに大泣きする姿はまだあるものの、ぶつかりあえることや心を裸にして言い合えることは、信頼関係の裏返しであるように感じた。『けんかするほど仲が良い』とは、昔の人はよく言ったものだ。




[その33]

●「だだをこねる子どもの心は…」

 新年早々、子どもが犠牲になる事件が相次いで起こっている。同じ子どもを持つ親として、犯人になんともいえない怒りや憤りを覚えずにはいられない。
 また虐待容疑者の母親からは「子どもに手がかかり、子育てに疲れた」「日頃から子どもが言うことをきかいのでイライラがたまっていた」「今日も言うことをきかないことに腹が立って衝動的にしてしまった」「躾(しつけ)のつもりだった」という言い分が聞かれた。
 虐待が、まだ聞き分けができない子に、親が根負けしてしまうことから起きる。反抗期まっただ中の2歳児への虐待が多いのは、こうしたことからなのだろう。
 デパートで、だだをこねてそっくり返っている子どもがいた。事情があってよその家に預けられて育った私には、母親と一緒に買い物をした記憶がないの で、そうして思いっきり自分の欲求を体全体で表現して、ぶつけているのをみると、「私も小さいときにあんな風に誰かに体ごと甘えて、ぶつかりたかったな あ」と、思ってしまう。
 一見わがままのように見えるが、自分の思いを通そうとするのも感情の成長の証。子どもがだだをこねるのも、思いっきり甘えてくるのも、親として信頼されている証と考えれば気が楽になる。
 こうしたことからか、私は子どもにだだをこねられたりすると、「困ったなあ」と思うのと同時に少し嬉しい気持ちになってしまうのです。こんな私は変なのでしょうか?



[その34]

●「ばっちゃの叱り方」

「お母さん、だまってろ!」といきなり長男が大声をあげた。その日長男は7時に帰宅し、夕食をすませても下の二人を茶化したり、泣かせたりする悪たれぶ り。8時半を回っても試験勉強を一向に始めようとしないので、業を煮やして「早くやった方がいいんじゃない?」と言ったことが気に入らなかったらしい。
 大人の理論では、やらなくてはいけないものを早くやって、あとは好きなこをしてゆっくり過ごせばいいと思うのだが…。それもこれも子どものことを思って 言うのに、思うように伝わらない。親としては「あなたが後で困るだろうから言ってやっているのに! 私だって仕事で遅く帰ってきても一生懸命に家事をして いるのになんでわからないの?」と疲れもあって感情が高ぶるばかり。
 その時、姑が長男に言った。「ばっちゃ、おめごと赤ちゃんの時から目に入れでも痛くないくらい、めごがってめごがって、曲がってきた背中さ負ぶって、そうしてめごがってきたのに。こした口のきき方するの聞けば、ばっちゃ悲しくて悲しくて、泣きすぎで目つぶれでしまうじゃ! お母さんもお父さんも、苦しくてもおめのために働いでけでるのに、なしてそした口きげるんだば!」。
 孫を思う気持ち、私の気持ちまで思いやって言ってくれた一言に、私も長男も打たれた。本当の愛情をもった叱り方を聞いた。心をもって心は伝わると、姑に教えられた。今も思い出すとじ〜んとくる。



[その35]

●「おやつ」

 おやつの語源は、江戸時代中期頃までは1日2食だったため八つ刻(やつどき)に小昼(こびる)という間食をとっていたことからこの時間の間食を「おや つ」といっていたのが始まりです。八つ刻は現在の午後2時から4時までをさすので、『三時のおやつ』ということばもここからきているようです。
 子どもにとってのおやつは、大人のおやつとは意味が違います。成長期の子どもは沢山のエネルギーが必要なわりには、体が小さいため三度の食事だけでは 栄養が不足しがち。そのためおやつはその不足した栄養素を補う意味があります。ところが現在市販されているお菓子は、多くの塩分や油分、様々な添加物が加 えられていて、子どもにとっていいものとはいえないものが多すぎます。
 以前幼稚園で仕事をしていた時、三度の食事をとる習慣がない子どもに出会ったことがあります。他の家族はきちんととっているのに、その子がおやつばかり 食べたがるからおやつを主食にしているとのこと。栄養面の偏りは心配ないかとたずねると、「不足している栄養素はサプリメントで補っています」という答 えがかえってきて驚いたことがあります。
 その子は同年齢の子よりも頭ひとつ分小さく、アレルギー体質でした。また、子どもが歯磨きもいやがるということで、虫歯だらけでした。食事から栄養を 取ることの大切さやスナック菓子がアレルギーのもとのアレルゲンを作り出してしまうこと、おやつを与えすぎることが食事をしない原因になってしまって いることなどを話し、お母さんといくつか約束事を決めました。
 @食事以外には極力おやつは控え、あげる場合でも袋ごとではなく、お皿にいれて量をきめてあげること。
 A食事に影響しそうな時間にはおやつをあげないこと。
 B楽しい食事を家族みんなでできる時はすることなどをアドバイスしました。また、幼稚園にいる時も静的な遊びを好みがちなので、意識的に体を動かす遊びに誘い出し、はらぺこを体験させるようにしました。
 家庭と連携をとりながら進めていくうちに、「ごはんまだ?あ〜おなかすいた」と食欲をうったえるようになり、食事の習慣がつくにつれて体も徐々に大きく なっていきました。お母さんから、「せめておやつだけでも食べてほしい」という親心であげていたとの悩みを聞き、子どもの嬉しい変化を共に喜び合ったこと がありました。
 おやつは素材の甘さをいかした昔ながらのおやつが体にいいと思うし、時間がある時には子どもにお団子まるめやパイの型抜き、クッキーの形つくりなどを させて、遊び感覚で親子クッキングをしてみるのもいいのでは?手作りであれば、甘さもきび砂糖や三温糖、黒糖など体に優しい素材を吟味できます。
 大人はおやつを軽く考えがちですが、おやつの適切な量・質・時間は、子どもの成長を促す大事な習慣の一つです。三度の食事と同じ位大切なおやつの時間を再度見直ししたいものです。



[その36]

●「〜しなさい」

「早く起きなさい」「早く着替えて」「ご飯食べたら歯磨きして」「トイレは済んだ?」と、子どもが起きてから学校へ出かけるまでの忙しい朝は、親に浴びせ られる指示語のオンパレードだ。このように親が先から先へ話をしていきすぎると、子どもは指示待ちの子どもになってしまいがちだ。そこでこんな工夫は いかが?
 例えば就寝時間も、「早く寝なさい」というより「もう寝る時間だよ。何時まで起きているつもり?9時?9時15分?」と選択肢を示して子どもに決めさせると、自分で決めたことは守るようになっていきます。
 時間がない中、トロトロしている子どもを見ると、テキパキ型のお母さんであればあるほど、イライラしてしまいがち。ムカーっときて呶鳴りたくなる時 は、スーっと深呼吸をし、選択肢を示したり気付かせたりする言葉をかけてみてはどうでしょう。押し付けではなく、子どもが納得して行動していくことで判断 力がつき、それが自立につながっていきます。



[その37]

●「お下がり」

 長男と次男は7歳離れている。そのため長男の服を次男が着られるようになるまで取っておき、次男の体が大きくなるたびにお下がりを着せていた。ずっとそ うしてきたので、次男はまったくお下がりに抵抗がない。1歳上のお姉ちゃんが履いていた赤いキティちゃん長靴もしばらく愛用していたくらいだ(さすがに4 歳になったら抵抗があってやめたが)。
 こうして次男は、誰からのお下がりでも喜ぶ子どもになった。近所のお姉さんから、いらなくなった学習机をいただいた時も嬉しそうにしていた。
 そんなある日、次男が兄弟のアルバムを見ている時に、大きな声で「お母さん!このパジャマ、お兄ちゃんとおんなじだ!! これ、お兄ちゃんの何歳 の時の写真?」と、大興奮。兄弟の間でも、お兄ちゃんの服を着られるようになった弟の成長を喜び合ったりしている姿もみられ、「お下がりもいいもんだ なー」と、ほのぼのとした気分になった。それ以来、同じ服を着ている兄弟を見つけると、みんな嬉しそうだ。
 ちょっと着ただけで捨てられてしまう子供服も多いとか。ご近所や親戚、仲良しでも、こうした嬉しい気持ちを共有するためにもお下がりを薦めたい。



[その38]

●「働く母の悩み」(1)

 新学期がスタート!あわただしく毎日が過ぎていきます。仕事で帰宅が遅くなっても、こうして安心して働けるのは、家に姑夫婦が居てくれるからだと日々感 謝せずにはいられません。帰宅時間が8時を過ぎると、下の2人は眠っていることもあり、寝顔を見ながら「お母さん帰り遅くてゴメンネ」と頭をなでること も度々です。
 そんなある日、小2になった娘から手紙をもらいました。「ママいっぱいくろうして、おせわしてくれてありがとう。はなれていても、おうえんしているよ。 大好きなママへ」と書いてありました。いつの間にこんなに優しい子になっていたんだろう。おじいちゃん、おばあちゃんが、たっぷりと優しさや愛情をかけて 育ててくれたからだと、ありがたい気持ちと、娘の優しさに涙しました。
 働く母親は同じ悩みを抱え、仕事と育児の板ばさみになることも多いと思います。両方完璧にできる人はいないから、今できることを精一杯やっていこうと思っている今日このごろです。
 そして、その母親の後姿から子どもが何か感じ取ってくれるのではないかと信じています。自分に元気がなくなると、子どもの寝顔をじ〜っと見つめる時間が 自然と長くなっています。「かわいい」という思いが溢れてきて、元気の充電となり、パワーアップにつながります。子供がいるからがんばれる! 本当は 大人が子どもからオーラをもらっているんですよね。



[その39]

●「働く母の悩み」(2)

 子どもが3人いるということは、やはり忙しいとこの頃思う。手は少しずつかからなくなってきたものの、1人は保育所、1人は小学校、1人は中学校と三つ に行っていると、行事や準備も様々で、仕事を持っている母親としては大忙しだ。3人でもこの忙しさであれば7人兄弟などの大家族の母親はどうしているのだ ろうと、尊敬の念を抱かずにはいられない。
 風邪ひきの末っ子の看病をしながら、上2人の宿題の進み具合を見に行ったり、次の日の準備をするように促したり、その合間を縫って家事をして…。もともと要領がよくないことも災いしているが、やってもやってもまだまだある。
 皆さんはどうしているのでしょうか。いろんなお母さんの工夫をお聞きして、読んでいる皆さんにお知らせしていけたらと、思います。どんどんメールで送ってくださいね。
 この頃は、宿題を終えてもうひと頑張り、次の日の準備もさせている。これをしておくと、朝に起きてからの心にゆとりができ調子もいいようだ。忘れて支度 をしていない日は朝から焦り、『ごんぼ』もほり放題。嵐のような朝になってしまう。こんな悪戦苦闘中の私によきアドバイスを!



[その40]

●「親子で嬉しい休日」

 4月の最後の日曜日。久しぶりにいい天気で子どもからはムシキングやラブベリをしにデパートへ行きたいとの、お出かけしたいコールが何度もかかってきました。
 でもこの頃帰りが遅く、子どもと触れ合う時間がない日が続いている私は、子ども達に家で過ごしたいと頼みました。
 「お母さんこの頃一緒に遊べなくて寂しかったから、今日はお母さんといっぱい遊んでちょうだい。お昼はベランダに敷物しいてみんなでサンドイッチ作って食べようよ〜!いい?」と、きくと「いいよ〜!わ〜い!!」と喜んでくれました。
 中2の息子も珍しく加わり、いろいろな種類のサンドイッチができました。ちょっと任せて見ていると、兄弟の中で上手に分担していて、卵をゆでるのを長 男が担当、切るのを長女、まぜて味付けは次男、材料がそろうとみんなでパンのうえにのせて適当な大きさに切っていろどりを考えて大皿に並べていました。
 お日様サンサンのベランダに敷物を敷いて、お皿を運び、飲み物をセットし準備オーケーです。
 「いっただきま〜す!!」普段はケンカが多い兄弟もこの日はニコニコです。
 おなかいっぱい食べた後の片付けもスムーズです。
 その後近くのセンターの体育館で野球やバドミントン、バスケットをして気持ちいい汗を流し、大騒ぎして思いっきり遊びました。
 姑夫婦が5時には夕食を食べるので3時半にはもどって私は夕食準備。長男は勉強、下2人は外で遊びたいということで児童公園に行きました。
 いっぱい笑って汗を流してスッキリしたのか、長男はいつもより勉強に集中したし、遅くまでテレビを見たがる下2人も、心地よい疲れからか、風呂あがりの7時半には熟睡してしまいました。そして翌朝6時前には、自然に起きていました。
 クルマ社会の最近では、家族が過ごす休日は外出が多くなりがちです。
 しかし、遠い所に出かけて、みんなくたくたになってイライラするよりも、こうして家庭で一緒に遊んだり、ゆっくり何か作ったりして過ごす方が、親子の気持ちが通いあうように思いました。
 そして、親とくっついて遊んで、心に栄養を蓄え、体を動かした心地よさをたくさん経験することこそ、子どもにふさわしい休日の過ごし方なのだと実感しました。




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