[子育て]

61話〜70話   東北女子短期大学 教授 島内 智秋



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[その61]

●「幼児期のケンカは心の栄養」

 コミュニケーションをとる方法に、ケータイやパソコンでのメールがある。学内にいても学生同士で電話やメールで今の居場所を確認して待ち合わせたり、便利になったな〜と思う。
 しかしその反面、いろいろなトラブルが出てきているように思う。
 「友達とメールの中でケンカして、やりとりしたくなくなったら、相手のアドレスを拒否してそれっきり」
 「仲のいい友達と誰かの悪口を言ったら、その人と友達はメル友で、悪口のことが伝わっていた」
 「喫茶店に二人で来ていても、お互いが下を向いて違う相手にメールをし合っていて会話がない」
 便利なものも使い方でいいものでなくなってしまうことも少なくない。便利になった反面、人と人が向き合って本音でぶつかり合う機会がなくなってきている印象だ。
 そうした意味もあって、大人になってからトラブルに遭遇したときに、きちんと向き合えるようになるためにも幼児期のケンカは必要だと思う。
 幼児期にケンカやトラブルがおきても、自分の言いたいことをわかってもらおうと伝えたり、相手の話をわかろうとしてよく聞いたり、そうしているうちに相手のことを勘違いしていたこともその場でわかって、謝れたり、仲直りできたりするようになる。
 しかし、この頃の傾向で、親にケンカをしないように言い聞かせられてくるのか、ケンカやトラブルになりそうになると、さ〜っといなくなったり、本音をのみこんで譲ってしまい、心に溜め込む子どもも見える。
 若者に言わせると、こうしたことは<うざい>のだろうか。それでも私は、ケンカをとおして本音でぶつかりあえる友達を作ってほしいと願う。その中で人と関わりあうことが好きな子どもに育てたいと思うからだ。
 こうしたことから、ケンカにあまり目くじらをたてず、子どもがケンカを通して得てくる<心の栄養>に期待してほしいと思う。ケンカのできるたくましい子どもに育てたい。



[その62]

●「一緒に遊ぶ記憶づくりを」

 お母さん、お父さんは、小さいときにどんな遊びをしたでしょうか? 
 私の場合は、一人で遊ぶことはほとんどなく、2〜6人集まると、おはじき、めんこ、かくれんぼ、缶けり、だるまさんがころんだ、どこいき、S字陣取り、高おに、影ふみ、手つなぎ鬼、ドッチボール、宝さがし、秘密の基地での遊び等……。
 今も仲間の顔や、その時期に夢中になって暗くなるまで遊んだ記憶がよみがえります。
 今の子どもたちは、大きくなってからこのような思いにふけることがあるのか疑問に思います。
 もう既に今のお父さん、お母さん世代自身が室内でゲームをすることが多かった世代なのでしょうか。
 山形県のある地方では、お年寄りが交代で日曜日に公園に行って、昔の遊びを伝えていて、親子で遊びにくる輪が広がっているとか。
 30〜40cmの木の枝(太さ2〜3cm)を削って尖らせ、それを投げて地面に突き刺す「根っ木」などのような、危ないと敬遠されがちな遊びも、根っ木の削り方まで子どもにさせている。
 根っ木は、地面の湿った所に円をかき、じゃんけんで負けた人が初めに自分の根っ木を地面に投げて打ち込む。次の人は相手の根っ木の根元をめがけて打ち込 み、倒すと、相手の根っ木をとることができるゲーム。勝つために木の選び方や削り方を研究して、親子で「強い根っ木」づくりに夢中になっているとか。
 こうした昔からある遊びや、地方独特の遊びがたくさんあります。
 でも、こうした遊びは一緒に遊び伝える人がいないとなくなってしまうのです。
 時間をみつけて、子どもと知っている遊びの話をして、知らない遊びは親がすすんで遊び伝えていきたいものですね。



[その63]

●「GWと危険予知」

 桜祭りの初日、いい天気に誘われて弘前公園に下の子2人と一緒に出かけて来ました。的あて、くじ、いちご飴! 一番喜んだのは、児童公園での滑り台やブランコ、シーソーでした。
 小2の一番下の子がブランコをこいでいるとき、3歳ぐらいの子がふらふらと目の前に歩いてきました。その子のお母さんはハイヒールをはいているため、 ずっと後ろにいて、ゆっくり歩きながらメールをしている様子。ぶつかる寸前に息子がブランコを止めてセーフ!私も一瞬ひやっとしました。
 息子はそのあとその子に「ここから出てくると、ブランコにのっている人にキックされるから出たらだめだよ」と、ブランコの前にズックで線をひいていました。
 その後、その子とブランコをかわったところに、ハイヒールのお母さんがようやく到着しました。自分の子どもがブランコにぶつかりそうになったことも、息子との関わりがあったことも知らずに…。
 子どもと遊ぶのにはふさわしい格好があるし、目離しができない時期の子どもと歩くときは、危険を予測して側にいなければならないと思うのです。何かがおこってからでは遅いのです。
 行楽シーズンは、大人の気もゆるみがち、子どもの存在を常に確認しながら、大人も子どもも一緒に楽しめるゴールデンウィークを過ごしてくださいね。



[その64]

●「親子での散歩って楽しい〜!」

 赤ちゃんを抱っこしてお散歩するのに良い季節になりました。(ベビーカーでも○)
 散歩は風を肌で感じたり、光を浴びたり、虫や鳥の鳴き声を聞いたり、緑や花の香りがしたり、赤ちゃんにとって新しい発見がいっぱい! からだと心の成長にも役立ち、家にこもりがちなお母さんのリフレッシュにもなります。
 ただ、赤ちゃんは肌が弱いので、日焼けや虫刺されから肌のトラブルをおこすこともあります。
 特に紫外線が強い季節は、ベビー用の日焼け止めクリームで事前のケアをしましょう。家に帰ってから手足や、顔をぬれタオルでふいてあげたり、のども 渇くので母乳やミルクで水分補給をしましょう。これからは気温も上がり、汗をかくことも多くなります。赤ちゃんは自分でのどが渇いたとは言えないので、こ まめに水分補給を心がけましょう。



[その65]

●「しつけ」と「ほめる」はセット

 4歳児の後半になると、人の目が気になり、恥ずかしい自分を見せたくない気持ちになります。それは自意識が育ってきたことになります。その意識を利用するという意味で、大人から見ると〈しつけ〉をしやすい時期に入ったといえるでしょう。
 しつけとは、社会生活で必要となる習慣を教えること。食事は座って、排泄はトイレで、公共の場では騒がない、交通規則を守ることなど、文化的、社会的ルールに沿うものが多いのはそのためです。
 また、食事のときはテレビを消すなどの「家族」が決めたルールもあるでしょう。それを守らせることは大切ですが、熱心なあまり感情的に叱っていても、子どもには「怒られた」という気持ちしか残りません。
 しつけの根底には、「この子をなんとか社会に適応させたい」という子どもへの思いやりがあるはずなので、守れたらすぐにほめる。そういう、ほめられた達成感が積み重なって、子どものなかにしつけは定着するのです。
 しつけは、親が子どもにできる最大の贈り物。私もまだまだですが、根気よく、いいタイミングを逃さないようにやっていきたいものです。
 いろんなしつけの成功例、失敗例も数々あろうかと思いますが、ママ仲間のためにメールで送ってくださいね。是非、お待ちしています。



[その66]

●「おとうさんと遊ぶって楽しいな」

 赤ちゃんがニコニコかわいく笑うようになった頃、首もすっかりすわり、抱っこされても安心な時期になります。
 あやされて、嬉しそうに笑う赤ちゃんを見るだけで、大人の方が幸せな気持ちでいっぱいになりますね。
 お父さんの中には、「自分が抱っこしている時よりも、妻に抱っこされているときの方が嬉しそうだな〜」「どんなに一生懸命あやしてもやっぱりママにはかなわない」と思うお父さんも多いでしょう。
 それは場数の違いです。
 お母さんは赤ちゃんと一緒にいる時間がお父さんよりも圧倒的に多いし、赤ちゃんはお腹の中にいる時から、お母さんの声を聞いているわけですから張り合おうとしても無理があります。
 たとえ初めは、赤ちゃんが笑わなくても気にしないで相手をしていてください。おろおろしたり、自信なげにすると赤ちゃんに見抜かれます。あくまでも自分も楽しみながら、にこにこと…。
 そして、もしも泣いてもすぐにお母さん預けたり、それで自信をなくして次にあやすことをおそれないでください。
 お母さんも、そんなお父さんに「もう、やっぱりあなたは無理ね」などと言わないであげてください。
 お母さんが信頼して赤ちゃんを任せている人かどうか、赤ちゃんにはよくわかります。
 お父さんと半日も一緒にいれば、「いつもと違う低い声だけど、いい人みたいだぞ」「大きな手で抱っこしてくれて楽しいな」と思うようになります。
 お父さんはお父さんにしかない良さがあるのです。
 自信を持って、赤ちゃんを揺すったり、渋く低音の魅力をたっぷりに歌って聞かせてあげてくださいね。
 ふつうに抱っこするだけでも、お母さんの時とは違う視界が開けて、赤ちゃんはお父さんの抱っこをすぐに大好きになりますよ。
 赤ちゃんにとってはお楽しみの遊びのひとときです。
 休日、チャレンジしてみましょう!



[その67]

●「言葉の遅れが気になるとき〜子どもの検診(1)」

 ことば発達の遅れが見られる子どもの親は悩んでしまうことが多いものです。1歳6か月では単語がいくつか言えて、指差しができるというのが目安ですが、特に知的な発達の遅れがなくても、ことばが出ない子はかなりいます。
 3歳を過ぎてから、それまでの遅れを一気に取り戻す子もいるので、1歳6か月検診では「様子を見ましょう」と言われることもあります。お母さんの中には「では、うちの子はどうなの」という点が一番気になるところでしょう。
 その結果、ことばが遅い原因をあれこれ探してしまったり、自分の子育てのせいにして落ち込んでしまうこともあるでしょう。でも本来、発達にはでこぼこが あるものです。だれだって、得て不得手があるように、歩き始めが遅い子も、なかなか身長が伸びない子も、そして、ことばが出るのが遅い子もいます。
 今の時代は情報があふれていますから、情報を仕入れすぎると心配ばかり増えてしまいます。たとえば、自閉症の特徴として「ひとつのおもちゃや物にこだわ る」「人の手を引っ張って自分の欲しい物を取らせる」「パニックのような大きいかんしゃくを起こす」などと書いてある本を読むと、「うちの子に全部あて はまる!」と悩んでしまいがちです。おなかが痛いとき、病気事典を読むと、重大な病気の症状にあてはまると思ってしまうのと同じです。
 でもこれらの気になる行動は、通常発達の多くにも表れる行動です。幼児はみな未発達で、脳の配線の工事中。細かい「気になる行動」を探して不安になるのはやめましょう。
 将来的に、今の悩みは杞憂に終わる子どもがほとんどです。ただ、障害の名前がつく・つかないにかかわらず、現在の状態に対してすべきことは、実は同じなのです。
(続く)



[その68]

●「言葉の遅れが気になるとき〜現在の状況に対してすべきこと(2)」

 それはずばり、「ふつうの子育て」をていねいにすることだと思います。多くの子どもは、少しぐらい遅寝遅起きをして生活リズムが崩れても、ビデオをみることが多くなりがちで外遊びが多少、不足しても、育ってはいきます。
 でも、そういう一歩一歩を大切にしてあげないと、前に進めない子もいます。
 まず基本となることは、早寝早起きをして生活リズムを整え、からだをいっぱい動かして遊ぶことです。「寝る子は育つ」「よく遊び、よく学べ」とは、よ くいったものです。規則正しい生活によって、脳の電線のおおもと(脳幹)がしっかり目覚め、からだを動かすことで刺激を受け、その結果、ことばや知的な発 達にかかわる電線のいちばん先(大脳皮質)まで電気が通りやすくなるのです。
 その上で、子どもと毎日楽しくかかわり合って生活することが、結局は子どものことばの発達によい影響を与えます。
 ことばの力を伸ばす家庭でもできる話し方、関わり方については次回紹介します。



[その69]

●「言葉の遅れが気になるとき〜ことばの力を伸ばす話し方」(3)

 毎日の生活の中で、話したい、伝えたい気持ちを育てる話し方があります。ことばがでるころに良いものを四つ挙げます。
 ミラリング…子どもの動作をそのまま、まねします。自分がやったことに反応が返ってくるのが楽しくて、それが、またやってみようという気持ちにつながります。
 モニタリング…子どもが「ア、ア」といったら「ア、ア」と、声や音をそのまま、まねします。「これでいいんだ」という自信が出てきて、次々に声を出すようになります。
 パラレルトーク…子どもの行動や気持ちを大人がかわりにことばに表します。転んで泣いたら「痛かったねえ」というように、代わりにいってあげると安心します。
 セルフトーク…大人が自分の気持ちや行動をことばにします。「おなかがすいたな〜。おやつにしようかな」というように。
 これらは、じつは日頃から無意識にやっていることばかりではないでしょうか。そうなんです。それで十分なのです。
 あとは、楽しく笑って過ごし、3か月刻みぐらいの成長を追ってみて、ことばが増えたとか、フォークが使えるようになったとか、何かできることが増えているか見ていきましょう。



[その70]

●「自分なりの決め事に縛られるときは…」

 人事異動や転勤、引越しで、それまでの職種や生活環境、人間関係が変ると、私たちはストレスを感じます。新しい状況に適応しようとすると、通常以上のエネルギーが必要になるからです。
 そのような時は、食事の支度や掃除、洗濯など、いわゆる家事に手が回らなくてもしかたがないと割り切れるでしょう。
 赤ちゃんが家族に加わったときも同じです。
「ずっと家にいるから時間があるだろう」と想像していたかもしれませんが、実際はそううまくいきません。
 この新しいメンバーは、予想外のときに泣くし、ことばも通じない。おまけに24時間世話をやかなければならないのですから。(世話をやくのは、大変な ことだけれど、子どもの心の成長には大切だということ。そして家事も、この赤ちゃんの世話のペースに合わせているから、今までのようにできないことの方 が多いということ。この二つをパートナーに話しておき、理解を得ましょう)
 私たちはだれでも「こうしなければいけない」という自分なりの決め事に縛られているところがあります。
「食事は手作りしなくてはならない」「1日1回は排便しなければならない」など、いろいろあるでしょう。
 ところが、だれかと一緒に生活し始めると私たちは、それぞれ違う生活環境で育ってきた人間同士なのだと、改めて意識するようになります。それで意見がぶつかることもあります。
「そういうやり方もあるんだ」「そんなふうに考えてもいいんだ」と、受け止めていけば、自分の世界はもっと広がります。
「疲れているときは食事は出来合いのものを買ってくればいいんだ」「うんちは毎日出なくてもいいんだ」など、赤ちゃんが「家族」に加わることで思いもしなかったことを学びます。
 そこで工夫したことが、生活の知恵になっていくのです(大人も子どもにもネ)。自分なりの決め事を守ろうとするばかりに、自分を苦しめていませんか?



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