[青森県内観光]

「恵雲と辻風の珍探訪」

 

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その17

十番 春光山円覚寺@(しゅんこうざんえんかくじ/深浦町)<1日目> 

○北前船の港を守る澗口(まぐち)観音

 今日のコースは青森市内から約2時間、いやそれ以上のドライブになるかも、と覚悟を決めてのぞんだ。
とは言っても私は助手席で揺られているだけだから、運転の手腕を発揮するのはいつだって恵雲さんなんだ。
本当にご苦労様でございます。「お昼はきっと海鮮だね!」と励ましながらスタートした。
青森空港を抜け津軽道に入ると、目の前にジャガイモをわんさか積んだトラックがノロノロ走り、行く手を阻まれた。
何とか追い抜いて、やっと海岸沿いの一本道にたどり着いた時、今度は「研修中」の大きな貼り紙をガムテープでくっつけた地元のバスが現れた。
うむ、新人さんの研修なのかな、春だネハァ。
 やっと現地についた。間髪を入れず「ピンポンパンポーン」と街頭放送。
港町特有の出迎えで、懐かしいアナログモードがうれしい。
円覚寺は、史料館や茶屋などが隣り合わせる街中の開けた一角にあり、のっそりとこちらに迫ってくる小高い山が寺の正体だ。
山門には2mはある大きなわらじと手のひらサイズのわらじが親子のようにぶら下がっている。
ここは古今にわたり檀家を持たない寺で、豪族の庇護を受けていたので、北前船の航行時代にもたらされた寺宝が数多く残されている。
境内を散策すれば、かつて竜神が宿って光を放ち、難破船を救ったとされる「竜灯杉」や国の重要文化財に指定されている薬師堂内の白木の厨子など、歴史を感じるものや最近の作と思われる可愛らしいお地蔵様など見所がたくさん。
鮮やかなピンクのつつじや、別名胡蝶花とも言われる「シャガ」の白い可憐な花びらがチロチロと風にそよいでいる。
本堂につくと50〜60代のご夫婦がお賽銭を入れ、鰐口を鳴らして柏手を打っていた。
 円覚寺の本尊である十一面観世音菩薩は、三十三年ごとの御開帳で次は平成30年とのこと。
ん? この数字も三十三か。はて、“三十三”は何に由来しているのだろう。
御朱印を押してもらう際、お寺の方に尋ねると「観音様は衆生を救うために相手に応じて三十三の姿に変身なさいます。
三十三は観音様の数字なんですよ」ということだった。
何人か参拝者がいて宝物殿の観覧客もいたようだが、帰りの時間が迫っていたので私たちはすぐ寺をあとにした。
実は後になって、これだけ歴史ある寺の宝物を見なかったことが悔やまれ、再び個人的にこの地を訪れることになったのである。

                                    (辻風)

春光山円覚寺(真言宗醍醐派)
本尊 十一面観世音菩薩
御詠歌:ただ頼め行末祈る深浦の 明日の命のほどは白浪
〒038-2324西津軽郡深浦町大字深浦字浜町275
TEL 0173-74-2029











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