[青森県内観光]

「恵雲と辻風の珍探訪」

 

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その32

■十五番 薄市観音堂@(うすいちかんのんどう/中泊町・旧中里町)<6日目>

○転居、廃堂、再建を経て維持されてきた鎮守の森の神仏たち

今泉の札所から国道339号線をさらに南へ。
国道より一本裏手を左に入ると、民家にまぎれて木造の鳥居が出現する。
と言っても、入り口が奥まっていて、目立つ色の鳥居でもないから、探さないとみつからない。
参道の入り口に、階段の修復工事の記念碑が二つ立っており、これから先に、立派な長〜い階段が待ち受けているのかと、身構える。
間もなく左に向かって「く」の字に伸びている、赤い手すりのついた長い階段が現れた。
入り口に木製の杖が20本ほど置かれていて、持ち手のところに鈴がついている。
鈴は風雨ですでに錆びてしまっているが、なぜわざわざつけられたのだろう。
まさかクマ除けのためでもあるまいから、きっとお遍路さんが使う金剛杖(こんごうつえ・弘法大師の象徴)を模したのだろう。
しかし普通は棒切れなのに、ひと手間かけて作られた杖には、階段を上る人のテンションアップを見込んだ、作り手の思いやりが感じられる。
生き物の気配を感じたので見ると、階段の赤い手すりにカタツムリがゆっくりと歩をすすめている。
今日の水先案内人はマイマイか。私たちにぴったりだ。
登ってみると階段はなだらかで、見かけより楽だった。
二股の分かれ道のところに木造の鳥居があるが、右肩下がりに大きくひしゃげていて、なんとも動物っぽいいでたちだ。
その麒麟の足のような鳥居をくぐると、左手には「大山津見神社」と掲げられたプレハブがあり、右手に道がさらに伸びている。
板状石碑の観音様が新緑の中にちらちらと顔をのぞかせ、朱色のつつじに囲まれてうれしそうだ。
観音堂についた。これまた新しめのプレハブ造りで、少し味気ないのだが、この薄市観音堂は元禄元年(1668年)の創建と言われ、先ほどお参りした今泉観音堂から本尊・千手観音を分祀し、寛延4年(1751)に十五番札所となった。
他の札所と同様、転居、廃堂を経て現在の場所に再建されているので、建物が新しいのは仕方がない。   
お堂の中に入ると、宝珠(ほうじゅ)形の燭台、線香たて、太鼓にしめ縄、それから神主さんがお払いの時に使う大幣(おおぬさ/白い紙の房)、そしてまたしてもご神体を示す鏡。
どうもその鏡の背後に仏像があるらしい。どんなお姿だろうか。(辻風)

薄市観音堂
本尊 千手観世音菩薩
御詠歌:萬々と眺めもあかぬ十三の海 千年をこゝに松風の音
〒037-0302 北津軽郡中泊町大字薄市山1-1
TEL 0173−58−2518










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