[青森県内観光]

「恵雲と辻風の珍探訪」

 

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その39

八番 日照田観音堂A(ひでりだかんのんどう/鯵ヶ沢町)<7日目>

○田畑手伝う若者に姿変えた観音様

 拝殿には南京錠があったが開いていて、皆さん自由に参拝していた。
中に入ると、奥の院へ通じる戸がある正面奥には天の岩戸の絵が掲げられていて、辻風さんはメモを取りながらじっくり見ていた。
鎌倉時代以前の古仏という本尊十一面観音様は奥の院にいらっしゃるようだ。
ここは明治以前、飛龍宮と呼ばれ坂上田村麻呂が大同2年に草創したと伝承されている。
日照田観音はその昔、若者の姿に身を変えて、この村の田畑の仕事を手伝ったという伝説もあると案内板に書かれていた。
明治の神仏分離令で観音像の上納を命じられたが、本尊の前に立っていた千手観音を身代わりに上納した(この千手観音は今、松源寺に納められているそうだ)。
本尊の十一面観音は神官の手で隠され、三十三観音巡りが復活すると、再び神社に十一面観音を祀ったいう。
大切に守られてきた観音様への思いがじんわり伝わってくる。
急こう配の階段を慎重に降り、膝がガクガクしながらもようやく下の鳥居まで降り、さあ、お昼は鰺ヶ沢名物の海の幸でもいただこうか、と思った瞬間、辻風さんが声をあげた。
「あれっ!ノートがない!」……。
思わず顔を見合わせた。
もしかして、上に忘れてきたのかも……。
「いいよ、私、もう一回行ってくる」と石段を登っていく辻風さん。
うわー。もう、私は登る体力ないよ……ごめん。
田んぼのあぜ道に揺れる白い花を眺めながら、足を休めた。
ほどなく、「拝殿にあったよ」とメモをとっていたノートを見つけてきた辻風さんを乗せ、漁港のドライブインまでたどり着いた。
日本海を眺めながらようやくありついた「ヒラメのづけ丼」が美味だったことは言うまでもない。
(恵雲)

日照田観音堂(高倉神社)
本尊 十一面観世音菩薩
御詠歌:澤山や朝日かゞやく日照田を 照らさせ給う観世音かな
〒038-2732 西津軽郡鯵ヶ沢町日照田












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