[青森県内観光]

「恵雲と辻風の珍探訪」

 

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その40

六番 湯舟観音堂(ゆぶねかんのんどう/鯵ヶ沢町)<7日目>

○豊かな生活もたらした刀鍛冶ゆかりの“鬼神石”

おなかも満足、足の疲れもだいぶ楽になってきたところで、次は湯舟へ向かった。
国道101号から岩木山方面へ、県道31号に曲った。
じょっぱりラーメンの店のところを右折し、新やすた橋を渡る。アップダウンする道を縫うように登っていった。
傾斜地にリンゴ畑が続いている。
「地図からいってこの辺りなんだけどな」と狭い道に入っていくが、神社が見当たらない。
通りがかりの杖をついたおじいさんに尋ねると、もう少し先だという。
また、坂道を登って行く。
ちょうどリンゴ園の小山をぐるりとまわったら、こんもりとした松林の中に赤いトタン屋根の小屋が見えた。
車が止められる場所も開けている。
この小屋をのぞいてみると、中に小さなお社(やしろ)がいくつか並んで見えた。
もしかして、ここが神社かも。裏側からまわってしまったようだ。この小屋が本殿で、その前方に拝殿があった。
拝殿の前には新しい狛犬(こまいぬ)がいて、阿吽(あうん)の口元にひかれた白と赤の縁取りがくっきりとしてユーモラスだ。
拝殿の中には船や神様が描かれた額が奉納されていた。
目を引いたのは大きなカニの甲羅を張り付けた絵馬。
納札もあちこちにくくりつけられている。
奥の院に向かって手を合わせた。
こちらのお堂の御神体“鬼神石”は、鍛冶(かじ)の時に出る鉱石のかす「鉱滓(こうさい)」なのだそうだ。
昔、鬼神太夫という刀鍛冶がいた。
この地では砂鉄が採れ、刀を打った湯舟の跡があるという。
鉄の農具などをもたらし、村の生活を向上させた刀鍛冶をあがめ、縁の深い鉱滓を祀ったそうだ。
さて、お参りを済ませてから入り口に向かうのも妙だが、参道はかなり急な坂道になっていた。
鳥居越しに、杉林の間から、かなり下のほうに水田の水がきらめいているのが見えた。
「降りてみよう」と辻風さんは軽快に石段を下りていく。
だんだん傾斜が急になり、慎重に降りて行くと、なんと、入り口の鳥居の下段は両側の手すりにつかまらないと降りられないような急な階段だった。
降り立つと、正面口は集落の中。
「湯舟六番観音」の大看板が立っている。
こちら側からお参りしたかったなあ。
(恵雲)

湯舟観音堂(高倉神社)
本尊 聖観世音菩薩
御詠歌:今の世に神といわれる鬼神石 庭のいさごも浄土となるらん
〒038-2704 西津軽郡鯵ヶ沢町湯舟町字七尾












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