[青森県内観光]

「恵雲と辻風の珍探訪」

 

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その49

十二番 蓮川観音堂(はすかわかんのんどう/つがる市)<9日目>

○地吹雪、大火も大木に守られ、農民の信仰を集める観音様

 岩木川を中心に、見渡すかぎり水田が広がる穀倉地帯を南下する。
真っすぐな用水路が何本も走っている。
木造蓮川の集落は、水路の一つ、出精川の両側に細長く立ち並んでいる。
冬は地吹雪から家を守るために「カッチョ」と呼ばれる高い板塀が立ち並ぶというが、訪ねた6月には、見られなかった。
防風林の名残の松林がいくらか残っている。
家々は揃って玄関が南東向きになっていて、厳しい西風を避けているのがよくわかる。
蓮川観音堂のある月夜見神社も、この水路に面していた。
曲がりくねった松や大イチョウ、クロタモの大木など、木々に囲まれた境内は、こぢんまりとしているが、よく手入れが行き届いている。
豆絞りを姉さまかぶりにした狛犬がユーモラスだ。
正面の拝殿をのぞくと、馬の絵の奉納額や「飛龍大権現」「月讀神社」という看板があった。
観音様はこちらには居られないようだ、と外に出たら、鳥居の横、大イチョウの側に観音堂があった。
周囲を三十三観音の石像がびっちり囲んでいる。
お堂には千羽鶴やわらじ、五色の布が掛けられていた。
御簾の向こうに観音様がいらっしゃるようだ。合掌。
蓮川観音堂は新田開拓が進められた天保2年(1682年)に建立され、幕末には飛龍宮と呼ばれたそうだ。
神社拝殿にあった看板はその当時のものだったのだろうか。当時は信者も多く、五間屋敷と呼ばれるほどの社務所もあったという。
昭和32年、集落一帯が大火にみまわれたとき、神社もこの社務所も消失したが、観音堂も本尊も大木に守られて無事だった。
村人は「聖観音の霊が大木に移った」と、さらに信仰が深まったそうだ。
ご朱印所はネギ畑を挟んで隣の民家だった。
お留守だったが、玄関を入ったところに机とご朱印一式が置かれていたのでいただいてきた。
「あそこに虫おくりの虫がいる」辻風さんが指差したのは川沿いのフェンス。
わらで作った大きな「虫」が飾られていた。
津軽西北地方一帯ではこの時期、無事に田植えを終えたさなぶり行事として、各地で「虫おくり」が行われる。
病害虫から稲を守るよう祈りをこめて、この「虫」を先頭にお囃子や荒馬が披露されるのも間もなくだろう。
(恵雲)

蓮川観音堂(月夜見神社)
本尊 聖観世音菩薩
御詠歌:野をも過ぎ里をも行きて眺むれば いつも妙なる法の蓮川
〒038-3115 つがる市木造蓮川清川59













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